糖尿病食事療法日米比較(6)

記事の更新がまた遅くなり、ひとり反省しています。言い訳をすると「糖尿病診療ガイドライン2019」、記事にするのが難しくかつ意欲が薄れてしまうのです。ガイドラインなのだから、ラインを示してほしいのですが、こうでもあるがこうでもある、こうともいえよう、といった玉虫色というか、霞が関の研究会報告書を読んでいるようです。記事には、要するにこんなことが書いてある、と纏めたいのですが、要するに、といとことで結論が出ない文章になっています。意図的ではないかと勘繰ります。

そんなわけで、客観的にまとめようとする努力は放棄して、私が気になったことや面白いと思ったことをピックアップして書いてみます。

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総エネルギー摂取量をどのように定めるか?

冒頭にまとめとしてのステートメントがあります。さらにそれを簡略化すると以下になります。

体重に見合う総エネルギー摂取量を設定するが、個別化を図ることが必要である。

体重に見合う総エネルギー摂取量とは、一律に計算できる数値ですから、このステートメントは「一律設定するが個別化を図ること」と矛盾することが書いてあります。本来ガイドラインなら個別化が優先であれば、個別化の指針や方法を書いた方がよく、また、一律化が優先なら、個別化するのはこういう場合だけ、という例外条件を明確にする方が使えるガイドラインになると思います。そもそもガイドラインって何に使うの」?という疑問もわいてきます。

以下、ガイドラインの目次項目(ガイドライン上では●で表記)毎に、記載します。

●目標体重と総エネルギー摂取量の目安の設定

<目標体重の目安>
65歳未満:BMI=22
65歳~:BMI=22~25(75歳以上は減退中に基づき適宜判断)

<身体活動レベルと病態によるエネルギー係数(Kcal/kg)>
①軽い労作(大部分が座位の静的活動):25~30
②普通の労作(座位中心だが通勤、家事、軽い運動を含む):30~35
③重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある):35~

<総エネルギー摂取量の目安>
総エネルギー摂取量=目標体重×エネルギー係数

これらの目安は従来から変更なし、です。

目標体重の考え方

肥満を伴った2型糖尿病は、…(中略)…その予防と管理には肥満の是正が重要な意義を持ち、そのためには総エネルギー摂取量の適正化を中心とする生活習慣の介入が有効である。…(中略)…BMI22を起点として総エネルギー量を設定することは一定の目安にはなりうるが、その根拠を死亡率の低い健康的な体格に求めるのならば、望ましいBMIは20~25の範囲にあり、22は一様に厳守しなければならない基準とは言えない。

BMI22 が絶対的なものではないとの記述なのでしょう。

冒頭に、「肥満を伴った2型糖尿病は」と書いてある通りで、「総エネルギー摂取量の適正化を中心とする生活習慣の介入」すなわちカロリー制限による食事療法は、肥満を伴う2型糖尿病に有効な方法であるという事ですから、とうことは肥満を伴わない場合、カロリー制限による食事療法をすることの意味は何なのか?と考えます。また、糖尿病治療のガイドラインなのだから、BMIの基準を総死亡率でみるのではなく、糖尿病の諸症状のコントロール効果で見た方がよいと思うのですが。

総エネルギー摂取量の考え方

目標体重と身体活動に基づくエネルギー係数から計算される値を目安とし、その後、身体活動、代謝パラメーター、体重の変化、そして患者個々のアドヒアランスを観察しながら、漸次エネルギー摂取量を決めていくことが現実的であり、総エネルギー量の個別化を図ることににも資すると考えられる。

ご説ごもっともであります。しかし、このような実態として個別化が行われているのですかね。アドヒアランスとは、 「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って自ら行動すること」だそうです。

最近の米国糖尿病学会の食事療法に関するコンセンサスリポートでは、総エネルギーの適正化による肥満の是正が糖尿病の予防と管理には最も重要だとし、当面の体重管理目標を5%減とし、その後7~10%の減量を維持すると記している。日本肥満学会の肥満症診療ガイドライン2016では、、、

アメリカの2型糖尿病患者≒肥満で、肥満でない2型糖尿病患者は例外扱いです。研究のデータを見ても対象者のBMIの平均値が30くらいがほとんどです。さらに、日本肥満学会のガイドラインを引用しています。総エネルギー摂取量への介入は、肥満が前提だと思われます。
日本人の2型糖尿病患者は、肥満でない人が相当数いると思うのですが、それに触れずに、肥満を前提としたことばかり書くのはやはりおかしいと思います。

コメント

  1. しらねのぞるば より:

    日本の糖尿病患者の半分はBMIが22又はそれ以下です.

    なので,その人たちにカロリーを減らせというのはまったく不合理なのですが,『カロリー制限は不要』又はそれに近い表現をガイドラインに盛り込もうとすると,猛烈に反対する学会幹部がいると推測しています.

    食品交換表を,つまり 糖尿病患者の『唯一正しい理想的な食事療法』を作り上げたのは自分たちだという信念にケチをつけるのは許さない,というのでしょうね.

    • ホリデー より:

      ほんとうにどうしてなのでしょうね。「専門的権威者は正しい」を覆すことになるからではないか、そんなことを想像します。これまで患者に指導してきたのにしめしがつかない、というようなこともあるのでしょうか。