糖尿病食事療法日米比較(5)

糖尿病食事療法日米比較、漸く日本糖尿病学会にたどり着きました。自分の頭の整理のために書き始めましたが、頭のなかにある考えを文字にしようとするとなかなか難しく、結局中途半端な記述になっているような気がします。

日本糖尿病学会の方針は、「糖尿病診療ガイドライン2019」の食事療法のページを引用します。

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食事療法の有効性

わが国における2型糖尿病の増加は、戦後の生活習慣の変化に起因している。特に、食生活の欧米化が、内臓脂肪型肥満をきたし、インスリン抵抗性を主病態とする糖尿病が増加していることは衆目の一致するところである。

食事療法の冒頭の記述です。
ごくごく当たり前のことが書いてあるようにも感じますが、これ、超意訳すると

「糖尿病増加の原因は食生活の欧米化である。当然でしょ!」

と書いてあるわけで、
本当に食生活の欧米化に起因しいるのか?
欧米化した食生活とは何か?
衆目が一致しているのか?
と、吟味してよい(正しいのか疑いをもって良い)ことがいくつも出てきます。
印象操作とまでは言いませんが、この冒頭の記述の後に、『したがって和食中心の食事に戻すことが糖尿病減少には必要である』と書かれても、なるほど、と思う人は多いのではないでしょうか。

糖尿病の予防には、肥満の是正が第一義的な意味を有する。そのためには、総エネルギーの適正化を中心とする生活習慣の是正が重要であり、体重の減少に伴って糖尿病の発症リスクは低減する。わが国の2型糖尿病の発症時におけるBMIは、欧米に比較して低いが、それでもBMIの増加とともに糖尿病のは発症リスクは連続的に増加する。

どうして、患者の治療の話ではなく発症や予防の話になってしますのか、そこが気になる(患者の治療には、と書けないのか?)のですが、
超意訳すると

食事の総エネルギー量を減らし、減量することが発症リスクを低減する

と主張しているようです。

2型糖尿病における食事療法とは、総エネルギーの適正化によって、インスリン分泌不全を補完し、肥満のある場合にはこれを解消して、インスリン作用から見た需要と供給のバランスをとり、高血糖のみならず種々の病態を是正することを目的としている。
祖王エネルギー摂取量の管理を図り、これに運動を加味することによって、体重を減少させる生活習慣の介入が2型糖尿病の予防と管理に有用であることは、・・・(中略)検証されている。

これも超意訳すると

2型糖尿病における食事療法とは、食事の総エネルギーを減らして、減量することで、病態を是正すること

つまり

食事療法とは食事の総エネルギー量を減らすこと

その目的は減量(による効果)

となります。
総エネルギー量の削減・減少と言わずに「適正化」と書いてあるのは、やせ型糖尿病患者もいるから、でしょうか。

日本糖尿病学会の食事療法は、第一義的にはエネルギー「」と減「」に注目したものであると言ってよいのではないでしょうか。
一方で、アメリカ糖尿病学会の食事療法の記述は、ますはに焦点が当たっている(地中海食とか低炭水化物といった食事パターンや、何を食べるか、食べないかといった推奨事項など)ように思えます。アメリカは日本以上に肥満型が多く減量は当然強調されていますが、食事療法は量と質を分け、かつその質(食事パターンなど)の効果を分けて整理しています。

糖尿病治療としての糖質制限食の(血糖コントロールなどへの)効果に関して、日本では、減量効果があってもリバウンドする、とか、総カロリーを制限しないのは問題、とか的外れな反論がなされている場合があると感じていました。しかし食事療法が「エネルギー量の減少による減量である」との枠組みに立脚すれば、食事療法の効果や妥当性は、総エネルギーの減少が行われているか、減少がなされているか、の視点で見る、という事になります。糖質制限によって血糖コントロールが良好になったという事例があった場合も、それは結果としての減量があったための効果である、が妥当な考え方となります。

 

栄養指導、栄養素比率、総エネルギー量、炭水化物摂取量などについても、読んでいていろいろと考えてしますのですが、なかなか表現するのが難しく、改めて記事にするかどうか、、、記事にするかもしれないししないかもしれません。

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