糖尿病はグルカゴンの反乱だったーhighbloodglucose さんの情報

「糖尿病はグルカゴンの反乱だった」にhighbloodglucose さんからも、貴重な解説をいただきました。これもそのまま記事にします。

わたしも呼ばれていたようですが、出遅れました(笑)

しらねのぞるばさんが書かれたとおりですね。
グルカゴンのアッセイについては、北村教授らのグループがLC-MS/MS(液体クロマトグラフィー+質量分析法)を開発されています。
サンドイッチELISA法と比べると特異性が高いというメリットがあるけれど、機器が高額でコストがかかること、分析に時間がかかることがデメリットのようです。
その点、サンドイッチ法は簡便であり、少なくとも従来のRIA法に比べればLC-MS/MS法のデータと相関が強いので、過去のグルカゴン研究はサンドイッチ法で再確認されるべきと述べられています。
参考;実験医学増刊 Vol.35 No.2「糖尿病研究の“いま”と治療の“これから”」2017年

グルカゴンルネッサンスについては、ちょっと古いですが2015年に実験医学の特集号があります。
実験医学 2015年4月号 Vol.33 No.6「グルカゴン革命 糖尿病の真の分子病態を追え!」

グルカゴン受容体に直接作用するアンタゴニスト(阻害薬)が糖尿病治療薬になりうると考えられていますが、少なくとも上記2015年の実験医学が出版された時点では開発されていないようです。
今のところグルカゴンの作用を抑制する薬剤としては、メトホルミンとGLP-1関連薬となっていますね。

グルカゴンの複雑な作用については、わたしも過去にブログに書いたことがあります。
ホルモンというのは本当に複雑で興味深いですね。
https://ameblo.jp/highbloodglucosediary/entry-12434024720.html?frm=theme

すみません、追加です。

グルカゴン受容体アンタゴニストについては、2015年の段階で米国で治験が進んでいるものが3つあったようです。
(ペプチド型、低分子量型、アンチセンスオリゴヌクレオ型の3種)
これらの治験がどのような結果に終わったのかは分かりません。
この辺りは、しらねのぞるばさんの方がお詳しいでしょうか?
それぞれ、NCT02111096、NCT02250222、NCT01885260という番号が振られていますが、
わたしには何のことだかさっぱり分かりません…

 

highbloodglucose さんのブログの記事を改めて読んでみました。
日本語はわかりやすいのだけれど、正直、素養がないと理解できらのかどうかわからない、というったところでしょうか。

ただ、空腹時血糖値がなかなか下がらず、朝は蛋白質でも血糖値上昇する私は、グルカゴンにも注目しておいた方がよいのかもしれません。

highbloodglucose さん、貴重な解説ありがとうございました。

しらねのぞるばさんもそうなのですが、専門知識を上から目線ではなくわかりやすく解説されているので、何とか理解しようとする気になることができます。本当にありがたいことです。

コメント

  1. しらねのぞるば より:

    移動中なので手短に

    >それぞれ、NCT02111096、NCT02250222、NCT01885260

    各々のTrialの現状は下記のようです.

    https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02111096?term=NCT02111096&rank=1
    https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02250222?term=NCT02250222&rank=1
    https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01885260?term=NCT01885260&rank=1

    最初の NCT02111096 のみが現在進行中?で,残りの2つは試験デザインされたものの,スタートしなかったのでしょうか.

    • ホリデー より:

      しらねのぞるばさん
      お忙しい中ありがとうございます。

  2. highbloodglucose より:

    しらねのぞるばさん

    おお、さすがしらねのぞるばさんですね!
    でも、リンク先のページをざっと眺めてもなんだかチンプンカンプン…
    じっくり眺めたら、わたしでも少しは読み解けるでしょうか(汗)

    NCT02111096のみstudy resultsが記載されていますね。
    これはイーライリリーが開発中のペプチド型アンタゴニストですね。
    実験医学には治験の第II相の段階だと書いてありましたが、
    それがこのレポートということなんでしょうか。
    次のステップに進んでいるのかどうか気になります。

    ホリデーさん

    先のコメントで間違いがありましたので訂正します。
    ×アンチセンスオリゴヌクレオ型
    ○アンチセンスオリゴヌクレオチド型

    なんでこんな妙なところでぶっちぎってしまったんだか…
    お恥ずかしいです。

    • ホリデー より:

      highbloodglucoseさん
      コメントありがとうございます。
      私には、ちょっと難しすぎる内容になってきました、、、

    • しらねのぞるば より:

      Phase2が途中で中止されたのではないかと思います.

      Study Resultsの Participant Flow で,試験薬(LY2409021)の被験者65名中, Completedがわずか1名,副作用などの理由によるDropOutが11名. ところが残りの53名は Terminated by Sponsor ,つまり Eli Lilly 自身によって中止されているからです.

      どうしてそうなったのかとみると,本試験のPrimary Outcomeは投薬6か月後の脂肪肝比率の変化をみるはずだったのですが,Analysis Population Descriptionで,試験薬投与者62名で 平均 3.65%の脂肪肝率増加[測定時点 不明]であり,これはPlacebo の-0.79%,シタグリプチンの -0.07%に比べて,明らかに脂肪肝を誘発しています. ALTも同様に試験群だけが増加しており,このまま6か月間の継続は不可となったのでしょう.

  3. highbloodglucose より:

    しらねのぞるばさん

    あらら、そうでしたか…
    開発していたペプチド型アゴニストがグルカゴン受容体に特異的に作用していたと仮定すると、グルカゴンの作用を強く抑制してしまうのは体にとってはよくないということなのかもしれないですね。
    脂肪肝になってしまうのは、グルカゴンによる脂質代謝が抑制されてしまうからなんでしょうか。
    どんなホルモンも多面的な働きがありますし、血糖値への作用のみ注目していると見誤ることがいろいろありそうです。
    興味深いですね。