情報の見方についてふと思い出したことがあります。糖尿病とは直接関係はない話です。
名物教授の講義
もう40年も前のことです。大学に入学して、その当時名物教授として人気の高かった先生の授業を受けていました。
「新聞は嘘は書いてないが新聞社の都合の悪いことは書いていない」
と、まず、ご自分の例を出して説明してくれました。その先生、全国紙の新聞に連載でコラムを書いていたのですが、新聞の値上げについて批判的なコラムを書いたら、ストップがかかったそうです。「〇〇新聞でもそうやからね」
「事実が書いてあっても、新聞社の主張が隠れている」
同じデモについて
A新聞は「10万人が参加」
B新聞は「5万人が参加」
と書いたあったりする。よく記事を読むとA新聞は主催者発表、B新聞は警察調べ、となっていたりする
「5万人のデモ行進」と同じ面に「100万人が、、、」という別の記事を出して、5万人が大きな数字でないように見せることもある
取り上げ方の違いが一番はっきりしているのがスポーツ新聞で
勝っても負けても、関西では阪神が一面、関東では巨人が一面
では、関東と関西の境目はどこかというと、真ん中には中日スポーツがある、というのが話の落ちでした。
こんな話を面白おかしく講義してくれるので、教室はいつも満員でした。
新聞の読み方とその影響
私は、大学時代からずっと同じ新聞を購読しています。なれると読みやすいから変えていません。
ビジネスホテルとか、図書館などでたまに他の新聞と読み比べることがあります。同じ日の新聞の一面でも取り上げている記事は結構違うし、その主張の内容も違います。
自分の読んでいる新聞と他の新聞を読み比べると、自分が同じ新聞を読み続けているのは、読みやすいから、だけではなく、その新聞の主義主張と自分の考え方が比較的近いからかも、と思ったりします。
そこではっと気づきます。ずっとこの新聞読んでいるからその新聞の考えに染まってくることももあるように思います。
糖質制限情報の見方
私は江部先生のブログに出会ったおかげで糖質制限食を行い、5か月でHbA1cが9.6→6.0に改善しました。ですから、糖質制限賛成派です。
だからこそ、糖質制限賛成の情報を疑い、糖質制限反対の情報に注目する、という姿勢が必要だと思っています。
そのくらいに意識しても、糖質制限賛成の立場に傾いて情報を見る自分がいます。そのことを自覚していることも必要と思います。
糖質制限反対派は、その主張に沿った事実を取り上げるし、糖質制限賛成派はその主張に沿った事実を取り上げる、これは非難されることではなく当たり前のことです。
同じ調査や論文でも、糖質制限反対派と糖質制限賛成派で取り上げ方、解釈が異なるのも当然のことです。(情報を受け取る方は混乱はしますが)
糖質制限については、経験、知識の豊富な優秀な専門家の意見が分かれています。どちらかがすべて正しくどちらかがすべて間違っている、ということのほうが可能性が低いと思います。
糖質制限賛成派の医師の言うことがすべて正しいわけではなく、間違っていることもある、が確率の高そうです。
一つの間違いがあるから、その人たちの言っていることがすべて間違っている、というのもおかしな話です。そんな主張が多いと思います。
糖質制限を行っているという点で、糖質制限の肯定否定議論を、私は当事者として考えます。当事者は客観的に見ることは困難です。なるべく、突き放して冷ややかに見る、どんな主張も疑ってみる、という立ち位置でいたいものです。
コメント
「新聞は嘘は書いていないが新聞社の都合の悪いことは書いていない」このことは、自分も30年以上前、20代の頃つとめていた会社の周辺で起こった出来事で経験しました。マスコミは事実は伝えるが真実は伝えない、ある一定方向に世論を持って行きたい・・・マスコミ不信になったものです。それ以来マスコミ報道は、その意図を勘ぐって読むようになりました。さらに、そういった経験がない人は、報道をそのまま信じてしまうんだろうかと思うと恐ろしいものがありました。糖尿病に関する情報に関しても、当然鵜呑みにはできません。これがいい、あれがいいといわれても、患者にとって、結局自分にとってどうなのか・・・。それを確かめるには、やはり血液検査と日々の自己血糖値測定でしかありません。それだけが自分にとっての真実であると思っています
にょろぞう18さんも苦い?経験をされているのですね。
血液検査と日々の自己血糖値測定が真実、同感です。
意図を勘ぐって読む、これもいつもそうしています。
他人事の時は意図を勘繰ること自体面白いのですが、糖尿病に関することだと、勘ぐって勝手に腹を立てている自分がいたりします。
意図まで勘繰らなくても、情報を疑うこと、疑って考えることは大切だと思います。