エビデンスレベル?ーその考え方は万能か?

私は医療の専門家ではありません。
が、患者として自分なりに考えようとしています。
まして、日本糖尿病学会が食事療法として唯一認めているカロリー制限でない方法を選択しているのですから、自分で考えざるを得ません。専門的知識がないですから管上げられる範囲は限られていますが。

江部先生のブログにはエビデンス、エビデンスレベルということがしょっちゅう出てきます。
最もエビデンスレベルが高いのは
質の高いランダム化比較試験(RCT)および
それらのメタアナリシス(MA)/システマティック・ レビュー(SR)
ということです。
少し調べて考えてみました。

例えば、A薬が効果があるかどうかを試験する際、
比較試験とは:A薬を飲む人と飲まない人に分けてその効果の比較を比較するの、
ランダム化とは:飲む人との飲まない人を分けるときに、研究者の意図など集団としての違いがでないように無作為に、例えば乱数を使って割り付けるのがランダム化
(本人の希望でわけると、薬を飲もうとする意思のある人と意思のない人で、試験の結果に影響があるかもしれない。そのような集団の違いをないようにするのがランダム化)
質の高いランダム化とは:たとえば
・薬を飲む、という行為でよくなると思う人がいるかもしれないから、薬を飲まない人(群)ではなく、薬に似せかつ薬効成分を含まない「偽薬」(プラセボ薬)を飲んでもらう。
・薬を飲んだ人には良い効果が出るだろう、というような医療者の考えが患者への接し方に影響しそれが効果に影響を与える可能性もあるので、医療者にも
A薬を飲んだ人か偽薬を飲んだ人かわからないようにする(二重盲検法)
(質の高いランダム化には、ほかにも、ランダム化が適切に行われるような実験手続きなどもあるのだろうと思います)

上記は素人がざっくり書いた例なのでいい加減なところがあるかもしれませんが、試験結果に薬の効果以外の要因が可能な限り入り込まないように行うのが質の高いランダム化比較試験ということでまあ間違っていないと思います。
この例の、A薬を飲む人と飲まない人を、糖質制限による糖尿病治療と、カロリー制限による糖尿病治療に変えれば、糖質制限による糖尿病治療とカロリー制限による糖尿病治療のどちらが血糖コントロールに効果的か、どちらが合併症が出るかなど比較が可能なはずです。

しかし、既に病気になっている人の治療をランダム化比較試験で行うことはできそうにないです。(例えば高尾病院に来る患者の半分を無作為に選んでカロリー制限で治療することは江部先生の医師としての倫理に反するでしょう。糖質制限を認めていない糖尿病学会の医師が患者に糖質制限の治療を行うことも同様です。)
患者の意思で選択させると比較実験にはなるかもしれませんが、ランダム化とはいえないですし、もしそれを行うとしたら糖質制限もカロリー制限もどちらも効果があると考え両方の治療を行っている医療機関でしかできませんからそれも現実的ではありません。
高雄病院での糖質制限での治療実績と、日本糖尿病学会のカロリー制限糖質制限での治療実績の比較が仮に行えたとしても、医療機関が異なるデータを比較するのですから、エビデンスレベルの枠組みではエビデンスレベルの低いデータということになります。

何が言いたいかというと、まず

・エビデンスレベルの枠組みではエビデンスのない糖質制限での糖尿病治療を推進してきた江部先生が、その反対論にエビデンスを持ち出して否定するのは論理的には自己矛盾しているように感じる
・江部先生がエビデンスレベルの枠組みを持ち出せば持ち出すほど、糖質制限による糖尿病反対論者は、糖質制限にはエビデンスがないからと反対しやすい。つまり、江部先生がエビデンスと言えば言うほど、エビデンスレベルの高いデータがない糖尿病治療としての糖質制限は否定されやすいのではないか

ということです。さらに、これは少し飛躍していると思う方もいらっしゃるでしょうが

・エビデンスレベルという枠組みでのエビデンスがないという理由だけで反対論を退けるのは科学的態度とは言えないのではないか。前の記事の「病気の原因は全て細菌である」という枠組で見たため脚気の原因の真実にたどり着かなかった日本陸軍と同じような間違いをおこしかねない
・糖質制限による糖尿病治療の有効性を広く世の中や、日本糖尿病学会に認めてもらうには、エビデンスデレルという枠組みから離れたほうがよいこともあるのではないか

と思います。エビデンスレベルという枠組みを否定しているわけではなく、多くの場合有効であるから用いられているが、少なくとも糖質制限による糖尿病治療の有効性はこの枠組みでは困難である、というところから論を進めてもよいのでは、と考えます。

この記事のような考えがありえることは江部先生はお分かりの上で、エビデンスを強調されているのではないかと想像します。特に糖質制限否定論に対してエビデンスを持ち出すのは、あまりに論理的でない(科学的でない)主張を医療の専門家がするから、かつ主張ではなくそれが真実であるように断定するから、ではないかと感じます。

専門家は、事実と自分の主張を分けて、伝えてほしいものです。
また、糖質制限の長期的安全性についてはこれからもいろいろな話が出てくるでしょうが、その安全性は定まっておらず、一つの論文や学者の主張などに振り回されないことが、患者には必要な態度であるように感じます。

コメント

  1. モン吉 より:

    ホリデーさん、こんにちは

    私のやり方が悪いのか送信エラーになる事がよくあり
    書いた内容が全部消えてしまいます。
    以前はエラーになっても内容は残っていたのですが。
    多分先ほど送ったものもエラーで届いていないかと思います。

    他の方は、大丈夫なのか、チョット気になりましたの書込み致しました。

    • ホリデー より:

      モン吉さん
      連絡ありがとうございます。書いたものがダメになるとがっかりしますよね。せっかく書いていただいたものを見ることができないと私も残念です。
      エラーについてですが、IT知識が少ない私には何ともわかりません。ネット検索をしてもこれといった原因が見当たりません。
      大変申し訳ありません。懲りずにコメントいただけるとありがたいです。