糖質制限を始められない人が始めるヒント-自己効力感

前の記事で、糖尿病治療としての糖質制限は、効果はありそうだが、「自分にはできない(できそうにない)」と思って実行していない人がいるのではないか、という趣旨の記事を書きました。

心理学に「自己効力感(self-efficacy)」という理論があります。

これは、人間の行動変容(新たな行動を始めたり行動を変える)を説明する理論で、

「効果がある・自分に役立つ」など良い結果が生じると考える(結果予期)だけでは人間は行動せず、
「自分は実行することができる」と思った(効力予期)場合に実行する

という理論です。バンデューラの社会的学習理論という心理学では有名な理論です。

例えば糖質制限について、

糖質をとらなければ血糖値は上がらないので、高い血糖値を下げる=糖尿病治療に効果的だ、ということについては、そうだろうなあと思う(結果予期)
しかし、そんな食事を作るのは大変だ、とてもできそうにない、おいしくなさそうだし甘いものを我慢できそうにない、など、糖質制限を実行できない・続けられない(効力予期)と思うので実行しない

まあ、そんな感じでしょうか。

ではどうすればよいのか。

バンデューラは自己効力感(自信)を高める要因として以下の4点をあげています。(ホリデーが意訳していますので正確な記述とは言えません。念のため)

①行動の達成:実行することができた経験

②代理的経験:できている人・行動を観察する(モデリング)

③言語的説得:やればできる、とか君ならできる、とか、人から説得されたり励まされること

④情動的喚起:やろうとしたとき、て怖さとか嫌だなあとか感じない(抵抗感がない)

①から順に自己効力感を高める力が強い、特に①の行動の達成が最も自己効力感を高めます。

やってみたい、やったら効果がありどうだけれどもとてもできそうにない、と思う場合には、できそうなことを探すしてやってみる、というのが実行の可能性を高めるアプローチ、という事になりそうです。

自分のやったことをこの理論で振り返ると始め方がよかったと思います。

結果予期:糖質制限すれば血糖値が下がるかもしれない←それほど結果について確信していたわけではありませんでした。硬質制限を始めて数日後のクリニック受診で血糖値が下がっていたので、結果予期の点でも確信が持てたこともよかったですね。

効力予期:長期間続けようとは思っておらず、「とりあえずやってみよう」でした。自己効力感という点では、これがよかったのだと思います。長く続けなければならない、と思っていたら、できないのではないか、と思ったかもしれません。

糖質制限に関するブログやネット情報では、手の込んだ美味しそうな料理の画像を見ることが多いのですが、これは私にとってはプラスにはなりませんでした。日頃料理をしないので、そこまでやらなくてはいけないのか、と思うととてもできそうにないなあ、と感じましたので。これは自己効力感を下げます。
料理の得意な方は、これならできる、と思ったとしたら、その情報は自己効力感を高める情報です。

糖質制限を始めようとする時には、自分にとって、これならできる、という情報を探すことが効果的だと思います。

ついでに言えば、血糖値が高くてその対策として糖質制限を始めるときには、糖質制限を始める前に自己血糖測定を始めることもお勧めします。理由は、糖質制限の血糖値への効果(食後血糖値や空腹時血糖値)は直ぐにあらわれるので、行うことに確信が持てます。
また、もし糖質制限の血糖コントロール効果がない体質だったりする場合、それもすぐにわかるはずなのでその確認もできます。

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