やはり名著:バーンスタイン医師の糖尿病の解決

バーンスタイン医師の糖尿病の解決を改めて紹介します。
たびたび引用していますが、やはり名著だと思います。

バーンスタイン医師の糖尿病の解決

蛍光灯の光が映り込んでしましましたが、、、
私の持っているのは2009年11月発行のものです。もっと新しい版もあるようです。

糖尿病の糖質制限治療のパイオニアともいえる方です。1型糖尿病治療患者として自分の治療として糖質制限を編み出し、糖尿病患者に役立てるために、エンジニアとしての職を捨てて医師になって治療に当たっているというまあ、経歴を読むだけでもすごいです。

バーンスタイン医師の糖尿病の略歴

1946年に12歳で1型糖尿病を発症。
20年の治療で糖尿病はどんどん悪化し合併症もかなり進行。

35歳、1969年に転機が訪れる。
血糖測定装置が開発、発売されてその広告を目にして、当時の価格で650ドルの装置を購入。
血糖値を一定にするためインスリン注射量を加減する、炭水化物量の制限も始めるが合併症は進行。
(食後の血糖値の変動は抑制したが、空腹時血糖値を下げることはしていなかった)

38歳、1972年に、動物実験の論文で、「血糖値を正常に保つことで、合併症の予防、回復ができる」ことをしり、医師に否定されながら、自分の血糖コントロールを実施。

1年以内に様々な症状が改善。
自分の発見を他の糖尿病患者に知らせたいと考え医学雑誌に論文を投稿するが、掲載を断られ続ける。

45歳、1979年、45歳の時にアルバート・アインシュタイン医科大学に入学する。
49歳、1983年には自分の診療所を自宅近くに構える。

記述が非常に実践的

どうすればよいか、ということが事細かく書いてあります。私がとても参考になったことに一つを紹介します。(ここまでの詳細な情報は今まで書籍で見たことがありません)

血糖測定の方法について

一般的な指導とは逆に、指を刺す最良の場所は手の背側になる。図3-1にあるように爪と第1関節の間、あるいは第1関節と第2関節の間(指の付け根を超えない)を刺す。これらの位置の穿刺は、痛みが少なく手掌側で指を刺すよりも血液の流出はよい。手掌側で、指を反復穿刺した後に起きるタコはできないであろう。
指の背側を刺すことが嫌ならば、図3-2に示した掌側を使用する。個人的には、私は図3-1,2に示した場所を全部使う。

このほかに、
・ランセット(針)は自分だけで使用するなら月に一回交換目安でよい
・両手のすべての指を使う
・手は洗うが、アルコールで指をふかない。指をふくと乾燥してタコになる。私の患者の誰もアルコールを使わないことで指の感染を起こしていない
など、細かく記述されています。
この部分だけでも私にとっては大きな価値がありました。

私の書評

・細かく具体的な記述が多いので、例えばインスリン注射の方法とか注射器の選び方とか、自分に該当しない部分とか関心がない部分は無駄といえば無駄になることがあり得ます。

・じっくり読む必要があります。読むのに時間はかかります。(ただ、自分が関心がある部分ならとても分かりやすい記述と感じると思います)

・訳が変な個所が多いです。翻訳家ではなく医療関係者が訳したのではないかと思います。(しかし、日本語訳で出版してくれていることがありがたいです)

・糖尿病患者でこの書籍を読むのは「糖尿病オタク」「糖尿病マニア」かもしれません。糖質制限で糖尿病治療に取り組む際も、読んだほうがよいかというと、必ずしも必要とは思いません。カロリー制限で糖尿病治療に取り組むときにはほぼ不要でしょう。私はあれこれ考えたい、知りたいたちなのでとても面白く、かつい名著だと思っています。

・このような名著があり、具体的な記載があっても、アメリカでは糖質制限が糖尿病治療として広く認められているわけではないのだ、ということは日本ではどうなるのか、、、そんなことも思います。

第3版への序の最後に、としてバーンスタイン医師が書いていることの一部を紹介します。日本人だとここまで言えないかもしれません。インパクトを受けました。

私が本書に述べることの多くは米国糖尿病学会(ADA)やそのほかの国の糖尿病学会の勧告に真っ向から逆らうものである。なぜか? もしも私がこれらのガイドラインに従っていたならば、私はとっくに死んでしまっていただろうからである。そのような対立の内容には、私が推奨する低炭水化物ダイエット、・・・(中略)・・・、ADAの現時点でのより高い血糖値許容方針に対して糖尿病患者も正常者が享受すると同じレベルの血糖値を維持する権利があるとの私の主張、などがある。
最も重要なことは、ADAのガイドラインと違って、われわれの治療法には効果があるということである。

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