糖尿病食事療法日米比較(3)

前の記事に続いて、アメリカ糖尿病学会ホームページの食事療法について、です。

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コンセンサスレポートの重要なポイント(Key takeaways from the report)

これはPDFファイルにまとまっており、5つの重要なポイントがかかれています。

There is no “diabetes diet”(唯一の食事療法はない)

このこと(唯一の食事療法はない)が最初に書かれていることの意味に興味を惹かれます。

Talk to your doctor and get a referral to a registered dietitian nutritionist (RDN) who can help you figure out what eating plan makes the most sense for you and your treatment goals.

医師と相談の上栄養士を紹介してもらい、自分に合う食事療法と治療のゴールをなど専門家に相談して自分に合う食事療法を見つけよう。

しかし、様々な食事療法が有効だとして、自分にあう食事療法を医師や栄養士と相談して見つけることが出来るとは思えないです。様々な食事療法が有効だと示す研究は多数あってもどんな人にどの食事療法があうのかの手掛かりになる研究などを見たことがありません。
患者としては、医師の診察を受けて検査をしたら、「この検査結果からは、あなたの場合は地中海食が適していて糖質制限は不適」というような客観的な診断を求めたいわけで、日本糖尿病学会の医師の診断を受けたらカロリー制限食を勧められ、糖質制限派の医師の診断を受ければ糖質制限をすすめられる、では自分に適した食事療法を選択したことにはならないと思うのです。
アメリカでは、その人にその人に適した食事療法を何らかの方法で診断やアドバイスをしてくれるのでしょうか。詳しい事情・実態は知りませんが、そうは思えないのですが。

You have choices—lots.(食事療法にたくさんの選択肢がある)

Many different eating patterns can help you manage your diabetes—from Mediterranean to low-carbohydrate to vegetarian.Whatever you choose, be sure to include lots of non-starchy vegetables, minimize added sugars and refined grains, and choose whole, minimally processed foods

糖尿病管理に地中海食、低炭水化物、ベジタリアンなどたくさんの食事療法が選択できるが、
・多くのでんぷん質のない野菜を取る
・砂糖や精製された穀物を最小限にする
・ホールフーズや最小限に加工された食品にする
はその中に含めること

この3つは、多くの効果的な食事療法に共有し(かつ反することがない)ので奨励されているのだと思われます。
確かに間違ってはいない気もするのすが、、、、
論理だけで考えると、食事療法を要素に還元して、それそれの食事療法におおむね共通するよう要素を集めるという方法が正しいのかに疑問ありです。この前提は、要素毎に有効性がある=食事療法の効果は摂取している食品の要素にある、ですが、本当にそうでしょうか。

Macronutrients may vary.(栄養素比率は様々)

We wish we could tell you the perfect percentage of calories from carbs,protein, and fat that you need, but the truth is the percentages can and should be individualized

炭水化物、タンパク質、脂質の割合は人それぞれでよいしそうあるべきだ。

varyをどう訳するのか迷いましたが、意訳して上記の訳でよいのではないでしょうか。
アメリカでも、従来はこの3要素の固定的な比率が目安とされてきたから、それを否定するためにこのような記述があるのでしょうか?

Carbs are not one-size-fits-all.(炭水化物の比率はワンパターンでない?)

While there is growing evidence to show that low-carbohydrate eating patterns can benefit people with diabetes and prediabetes, there is no one definition for “low carb.” For some, following an eating pattern lower in carbs (26–45% of total calories from carbohydrate) showed better blood sugars and a reduction in diabetes medications, among other benefits. Work closely with your doctor and RDN if you choose a lower carb approach to minimize risks (such as hypoglycemia) and maximize success.

低炭水化物が糖尿病に有益であるエビデンスは増えているが、低炭水化物の定義は定まっていない。炭水化物26%から45%が血糖値や減薬に良いとされる研究もいくつかあるが、低炭水化物食を行うなら医師や栄養士と密接に連携して行うこと

タイトルの訳は??です。低炭水化物の定義が定まっていないことが指摘されていますが、それをなぜ重要なポイントとして指摘するのか、その意図は知りたくなります。
私の日常の一日当たりの糖質量の最頻値は50g程度、たまにラーメンなどをたべて100gを超えることがありますが、カロリーに占める糖質量=炭水化物量は10%程度か、それを下回ると思われます。very low carb に該当すると思いますが、これは対象外なのかもしれません。ここに言われているのは日本流だと「緩やかな糖質制限」程度までの事と読んだ方がよさそうです。
低炭水化物食を行うなら医師や栄養士と密接に連携して行うこと とありますが、推測ですがアメリカでも「低炭水化物食を医師や栄養士と密接に連携して行うなら、低炭水化物食を推奨している医師や栄養士を探して選択すること」なのではないかと思います。

Weight loss works. Losing modest amounts of weight (start with 5%)

can improve your blood sugars and other diabetes outcomes in both type 1 and type 2 diabetes. There are lots of ways to lose weight, from changing your diet to getting more exercise, taking medications or even surgery. A focus on lifestyle changes is the preferred starting point, but it’s important to be familiar with all valid options.

減量が役立つ。1型でも2型でも血糖他糖尿病の症状改善を改善する子tができる(まず5%の減量から)減量方法は、食事、運動のほか薬や手術もある。生活スタイルの変更を行うことが好ましいが、様々な減量方法があることを知っておいた方がよい。

昨日の記事にしらねのぞるばさんから、「米国のガイドラインが想定しているのは,もちろん3人に1人がBMI 30以上という米国人の現状を踏まえたもの」とのコメントをいただきました。確かにその通りと私も思います。
糖尿病対処にはまずは減量ということなのでしょうが、一方で重要なポイント6個のうちの5番目にようやく出てくること、減量方法として食事以外も挙げられていること、食事療法の効果として、表の中の項目として減量はone of them であることなどから推測すると、食事療法と減量は直接は結び付けていない(独立した項目である)とされているように感じます。
(食事の量を減らせば減量になるのは当た値前で、食事と減量は密接不可分ではありますが)

Tweaking your food choices can help reduce risk factors for complications.

Food swaps are easy ways for people with diabetes to reduce their risk for cardiovascular disease and kidney disease. For example, consider replacing foods high in saturated fat, such as butter and fatty beef, with foods rich in unsaturated fats, like olive oil and fish.

食べ物の選択を微調整することが役立つ。心疾患や腎臓疾患のリスクを減らす簡単な方法だ。例えば飽和脂肪酸の多いバターや脂肪の多い牛肉を、不飽和脂肪酸の多いオリーブオイルや魚に変えるなど。

オリーブオイルや魚の油は確かにいろいろな効果があることをよく見かけます。私もオリーブオイルは糖質制限を始めて最も摂取が増えた食品のひとつです。
バターや牛肉がよくない、という話もよく見かけますが、これについては本当にそうなのだろうか?と疑問を持っています。強い根拠を示すこともできませんが。

 

最近、グーグル翻訳がずいぶん実用的になってきたので、英語と日本語をわざわざ両方紹介する必要もないのでしょうが、自分の整理のために欠いてみました。続きます

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