糖尿病食事療法日米比較(2)

前の記事に続いて、アメリカ糖尿病学会ホームページの食事療法について、です。

食事療法と効果(Dietary patterns and health benefits)

ホームページには以下の表が掲載されています。

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日本語で作ってみると以下の様になります。

健康上の利点糖尿病のリスク低下A1C低下心疾患のリスク低下体重減少血圧低下
地中海食
ベジタリアンとビーガン
低炭水化物と超低炭水化物
低脂肪
超低脂肪
DASH食
パレオ食

多くの糖尿病患者にとって最も関心が高いと思われる血糖コントロールの改善をしたければ地中海食、ベジタリアン、ビーガン、低炭水化物(糖質制限)のいずれかを選択すればよい、ということになるのでしょうか。

この表を眺めているといろいろと興味がわいてきます。

地中海食について

地中海食はヨーロッパでも推奨されつつあるようです。地中海食は、野菜や果物が多い、油はオリーブオイル中心、タンパク質は魚介が多めで肉類特に豚・牛は少ない、ナッツ、豆類、全粒穀物が多い、など様々な特徴がありますが、研究上は何をもって地中海食、と定義するのでしょうか。論文を読めば明確になるのかもしれませんが、、、

例えば、和食という概念は日本人なら誰でもわかるけれども、研究を行う際に、和食と和食でない食事の定義をどのように分けるのか、その境目は結構難しいのではないか、という気がします。

地中海食が有効であることはコンセンサスがあると思いますが、それをよいことに、肉類は少ない方がよい、とか、脂質は不飽和脂肪酸がよい、とか、加工されていない食品がよい とか、様々な食事療法の主張に都合よくつかわれているような気もします。

食事療法の多様性

様々な食事療法が取り上げられています。低炭水化物と低脂肪のように相容れないものもありますが、それぞれが一定の効果を示しています。これが真実であれば、「特定の食事療法が正しくそれ以外は間違っている」ではなく「A療法も効果があるし、その対極にあるB療法も効果がある 」という事になります。

私は、糖尿病対処を始めたころ、どちらかといえば「糖質制限が正しく日本糖尿病学会のカロリー制限が間違っている」と思い込んでいましたが、最近は「糖質制限もカロリー制限も糖尿病対処に効果がある。しかし人によっては逆効果の場合もある。」に考えが変わってきました。

糖尿病患者のブログを見ても様々な方法で血糖コントロール・健康維持されている方がいらっしゃるようですから、まさに人それぞれのようです。

食事療法の効果

効果について表には5つの項目(糖尿病のリスク低下、A1C低下、心疾患リスク低下、体重減少、血圧低下)があります。それぞれが独立した項目という事ではなく実際には相関や因果関係があり得るのでしょうが、要素として明確に5つを挙げていることは、食事療法の多様性とともに、日本との違いであると感じます。

日本糖尿病学会がこれらの要素について全く触れていないわけではないようですが、食事療法のとらえ方そのものが異なるように思えます。その点については、日本糖尿病学会のガイドラインへの感想としてまた別途書いてみようと思います。

尚、Low-Carbohydrate と Very Low-Carbohydrate それぞれの定義は何だろうかとホームページを探したのですが見つけることができませんでした。
コンセンサスレポートでは、炭水化物45%以上が高炭水化物、45%以下が低炭水化物、26%以下がVery Low-Carbohydrate という研究があることが紹介されていましたが、それが定義ということではなさそうです。Low-Carbohydrateの定義が研究によって異なる、とコンセンサスレポートに書いてあったように思います。

(まとまっていないことを自覚しつつ次に続きます。)

 

コメント

  1. しらねのぞるば より:

    米国のガイドラインが想定しているのは,もちろん3人に1人がBMI 30以上という米国人の現状を踏まえたものでしょうね.地中海食(これは だいたい高脂肪=高カロリーになりやすい)を除いて,とにかく『体重を減らせ,話はそれからだ』ということなのでしょう.

    • ホリデー より:

      「2型糖尿病≒オーバーウエイト、やせ型は例外」が、情報の発信側も受信側も当然、といった感じはりあますね。論文ではないですが、「やせ形ですら効果がある」といった記述も散見されるようですね。アメリカの情報はそれをわかったうえで読まないと理解がずれる可能性があることはわかっておかないといけないですね。