数日前にTV「ザ!世界仰天ニュース」でグレート義太夫さんを取り上げていました。
もう糖尿病患者には、有名な話だとは思いますが、
糖尿病→インスリン注射→人工透析へとすすんで、
現在は、週3回、一回当たり5時間の人工透析を受けているとのことです。
日本テレビのホームページの情報を抜粋して経過を記載します。
1995年。テレビを見ていた時、突然目がかすみ字幕がぼやけた。
そして…突然、意識を失った。
倒れてすぐに病院に運び込まれ、その後、意識は戻り医師からは糖尿病と診断された。
この時、義太夫の血糖値は630もあった!
1か月程前…なぜか、体重が14キロも急激に減っていた。
この頃からやけに喉が渇くようになり、
1時間も我慢できないほどトイレが近くなっていた。
実は義太夫の父親も糖尿病による合併症で亡くなっていた。
しかも23歳で芸人になって以来、多忙な生活。
仕事が終わるのは深夜…腹が減るため、腹いっぱいになるまで食べてしまう。
こうして糖尿病になった義太夫は入院することに。
高くなった血糖値を下げる為…注射でインスリンを補った。
そして食事も徹底的に管理。
特に糖分が多く含まれているご飯類や麺類、芋などは食べる量を制限され、
代わりに、きのこや野菜類、海藻など糖質ができるだけ少ない食事を摂り、
糖分のバランスを整えた。
そして入院から1週間が過ぎたころ。
義太夫はナースからインスリン注射のやり方を覚えるように言われた。
退院後も血糖値に異常がないか、毎日朝・夕、血糖測定器で数値を確認。
さらに食後に血糖値が上がる為、食前にインスリン注射を打つ。
もちろん食事はとにかく量を抑え低カロリーに…大好きなカレーも食べられない。
こうして退院して3か月、毎日の血糖値測定やインスリン注射、
月2回の通院も真面目にしてきた義太夫…すると考えに変化が。
特に体調が悪いというワケでもない…なぜこんなに我慢をしなければならないのか?
こう思うようになり、再び以前のように食べるようになってしまった。
そんな生活が5年以上続いたある日、義太夫の体に変化が。
毎日測っていた血糖値がなぜか下がっていた。
血糖値が下がって半年…体に異変が。
めまいや立ちくらみが頻繁に起きるようになっていた。
実はこの時、義太夫はある恐ろしい合併症を引き起こしていたのだ。
そしてついに…義太夫は倒れてしまった!
こうして約8か月ぶりに病院へ…診断の結果は腎不全だった。
そんな彼は…現在5時間の透析を週に3回行っている。
グレート義太夫さんには申し訳ないですが、継続して食事制限を続けていたら結果は違っていたかもしれません。
江部先生のブログには、よく以下のように記述が出てきます。
従来の糖尿病食(カロリー制限・高糖質食)により、
毎年、新たに
糖尿病腎症からの人工透析が約16000人以上、
糖尿病網膜症からの失明が約3000人以上、
糖尿病足病変からの下肢切断が約3000人以上です。
糖質制限食なら、これらの糖尿病合併症は防げる可能性が極めて高いのです。
さて、仮に糖尿病の食事療法がカロリー制限から糖質制限に切り替わったら結果は大きく変わるのでしょうか。
グレート義太夫さんの場合で考えると、食事療法がカロリー制限でも、糖質制限でも、脂質制限でも、結果は同じだった可能性が高いような気がします。
糖尿病、特に合併症の怖さについて知ることが、患者にとって重要なことだと感じます。楽しくはないですが。
義太夫さんの例から思うことではないのですが、食事療法の選択以外に重い合併症を引き起こす原因があると思っています。
以下は看護ジャーナル(2011.12)の記事の引用です。
クリニックに来る患者は、それまであちこちの病院で医師や看護師から脅かされ、叱られてきた。だが、脅かされてやるセルフ・コントロールは半年ももたないし、第一、病院に行くのがイヤになる。「深刻な合併症は多くの場合、治療の中断によって起こります。定期的に受診していれば、むやみに悪くなることはありません。糖尿病の重症化の半分以上は、医原性だと私は思っています」(クリニック未来国立 宮川院長)
医療の対応のまずさが患者を病院から遠ざけている、ということが合併症深刻化の原因の一つであると私も思います。
また、患者の治療への取り組みを促進するようなかかわり方が、治療には重要だと思います。
医療者、特に医師はこの点を学んでいる人はとても少ないように思います。
さて、もしそうであれば、患者のできることは何か。
これは自分も十分には出来ていないですが、以下の心構えが必要だと思っています。
1.最低限の糖尿病に関する知識を持つ
2.納得できるまで医師・医療機関を選択する
(長期間の付き合いですから)
3.医師は権力者ではなく、こちらが支払を行うサービス業者であると位置づけ、評価する
(これが実際は難しいのですが)
4.治療結果は自己責任
(自分が引き受けるしかない。病気が悪くなっても医師は責任を取らない。取りようがない)
コメント
ホリデーさん こんにちは。
過去にウォーキングだけで軽快した為、一度は敵前逃亡した事のあるプーカプカでございます。
医師の石井均氏は、既存の「糖尿病学」に対して、「糖尿病医療学」という領域の学問を提唱されています。
医師が、医学的に正しい事をタテに、患者に一方的に要求したり、説教したりしてスッキリするだけでは、糖尿病は治せない、という発想から「医療学」と仰っているようです。
血糖値をコントロールしていくと決めた後、患者側・医療者向け両方の本を読み漁りましたが、アメリカ発の本はわりと心の動きをフォローするスタンスが多いですね。
患者の周囲に現れる「糖尿警察」との闘い方にまで言及していたり。
経年変化後の私の気持ちとしては、病気そのものよりも、病気である事の受容態度との闘い?
癌等の難病でも、病気の受容に至るまでの過程がありますが、病気であることの攻撃は受けませんからね。
糖尿病患者の多くが、自分とも闘わなければいけない上に、周囲とも闘うのでは、ダブルパンチで離脱率上がりそうです。
ホリデーさんは、明治大正期の物理学者・寺田寅彦氏の名前をご存知でしょうか。
関東大震災を経験した彼は、地球科学の専門家として防災の啓もう活動に邁進しますが、昭和十年、中央公論誌で下記のように述べています。
「災難の原因を徹底的に調べて、その真相を明らかにして、それを一般に知らせさえすれば、それでその災難はこの世に跡を絶つ、というような考えは、本当の世の中を知らない
人間の机上の空想に過ぎない」
これを受けて、現代の地球科学者・鎌田浩毅氏は、「生き抜くための地震学」で、
「たとえば、心の負担がある場合に、そのことだけを考えつづけていると、精神は耐えきれなくなってしまいます。(中略)人間の心がもつ大切なメカニズムですが、災害などの緊急時に働いてしまうと、大切な命を落とすことになりかねません。というのは、危機を認識するためのスイッチを、自分から切ってしまうからです。」
と述べています。
糖尿病患者は、それこそ1食ごとに非常事態なわけで、それを真に受けて自覚するほどストレスと恐怖に耐えきれない、すなわち何も起こっていない事にして戦線離脱する、というのは頷けます。
プーカプカさん
情報ありがとうございます。
石井均氏、知りませんでした。読んでみようかとアマゾンを見ましたが、ちょっと高くて躊躇しています。
患者側・医療者向け両方の本を読み漁ったとのことですが、もしよかったらどんな本か教えてもらえませんか。
ブログの記事にしていただければ、見に行きます。
寺田寅彦、名前だけは知っています。鎌田浩毅氏の言わんとすることもわかるような気がします。
「病気である事の受容態度との闘い?」これはわかるようなこれだけで分かってしまうのも間違うような、、。
病気の受容も、長く付き合う病気ですから、重要なテーマですね。
「1食ごとに非常事態」を大きなストレスと受け止めてもマイナスですし、一方でストレスを回避するために「非常事態ではない」と認識してしまうのも問題あり、ですね。
これまでブログのテーマにしてこなかったですが、改めて考えたいと思いました。
ホリデーさんこんばんわ!
栄養学はトレ用しか分からないので、なんですが。
生活習慣病は、自分との戦いの気がします。
いくら知識があっても、行動に移さないと、
正に知は空虚なりになると思います。
>深刻な合併症は多くの場合、治療の中断によって起こります。
ホントーに、途中で生活習慣を乱してしまう人は多いようです。
自分が言うのも何ですが、2型糖尿病は、食事療法でも、
色々な考えがありうらやましいです。
それだけ、研究が盛んで選択肢も多い訳ですからね。
パニック障害は、1~3%の発症率なので、
鬱とも違い研究や臨床はホボ無いのが現状です。
医学の進歩が全く追いついて来ない感じです。
なので試行錯誤しないと、どうにもならないのも現状です。
ろんり~うるふさん
「食事療法でも、色々な考えがありうらやましい」
というのが、パニック障害の大変さを表しているように感じました。
(臨床心理の専門家ではありませんが、その業界にちょっと関わっているので薄っぺらい知識はあります。)
「自分との戦い」その通りだと思います。しかしあまり戦いたくもないなあ、と思ったりもしまう。
ホリデーさん こんばんわ
自分のブログでも書き散らしているのですが、散らかし過ぎて掘り起こせませんでした。
深く考えずにブログを初めて散漫に続いてしまった欠点です。
記憶に残ったものだけ書きますね。
買った本は一冊目の糖尿病バーンアウトだけです。それも図書館で二度借りて、やっと買う事にしたケチぶりで(笑)
糖尿病バーンアウト-燃えつきないためのセルフケアとサポート
糖尿病・最初の1年(グレッチェン・ベッカー)
傷ついた物語の語り手―身体・病い・倫理
病いの語り―慢性の病いをめぐる臨床人類学
バーンスタイン医師の糖尿病の解決
エビデンスに基づく糖尿病・代謝・内分泌看護ケア関連図
病を引き受けられない人々のケア(石井均)
医療におけるナラティブとエビデンス─対立から調和へ
なぜふつうに食べられないのか:拒食と過食の文化人類学(磯野真穂)
ナラティブに関しては、小児1型患者から医師になった方の糖尿病診療を巡るブログで、その定義を知りました。
(参考サイト)
http://www.healthliteracy.jp/shinrai/post_6.html
標準治療のガイド的な本も、毎年出ますので、何年分か読みました。
耳の痛い本は、記憶に残っておりません(笑)
乱読の目的は、どうすれば介入を受けずに生きて行けるか、という非常に視野の狭い動機でしたが…
自ら行動変容して、自ら行動支援するしかない、セルフプロデュース以外の道はない、と分かりましたので、まぁ結果オーライでしょうか。
プーカプカさん
ありがとうございます。
「バーンスタイン医師の糖尿病の解決」以外は知りませんでした。
まだまだ勉強することがありますね。ぼちぼち読んでみようと思います。
プーカプカさんのブログ、最初の方を読んでみました。
これだけ学ぶには家族関係の影響+プーカプカさんの知的好奇心や物事への対処スタイルなどが影響しているのだろうなあと感じております。
ナラティブのメタ理論は社会構成主義です。ポストモダンの影響を受けていますから、EBMの対極にあるようなものです。
これは本業の近接領域なので、結構詳しいです。
一人一人の人生の物語は異なるのです。糖質制限が何%減量効果があるとか、死亡率が高いとか、そのような一律の見方と異なるところで生きている部分があることを大切にしようという事でもあると思います。(まどろっこしい言い方になってしまいました。)
初めまして。 hirorinnと申します。 最近になってホリデーさんの部屋を覗かせていただいて、勉強しております。
私は2型糖尿病になって、10年くらいになります。
難しいことは判りませんが、義太夫さんみたいな症状の人が、会社の同僚だった人に数人おられました。仕事をするうえで難儀したんだろうと思います。
もう少し早く糖質制限の事を知って実践していれば、透析まで行かなかったのではと思います。
私は教育入院しながら糖尿病の勉強を少しさせて頂きました。たまたま糖質制限の事をネットで知り、実践させて頂いて今に至るのですが、糖質制限が出来る段階で、実践できたのは幸いでした。
他のブログ観させていただくと、腎臓を患って糖質制限が出来ない方がおられます。じわじわと合併症が進んでいき、重症化するのではと感じております。
もちろん他人事ではないので、心筋梗塞 失明 透析 切断にならない様に自己責任において、これからも糖質制限を続けて行こうと思います。 長々とすみません。
hirorinnさん
はじめまして。
「糖質制限が出来る段階で、実践できたのは幸い」というのは本当にそうおもいますね。
他人事ではない、というのもその通りで、無事に健康に生き続けたいですね。
おはようございます、appleです。
教育学を学んでいる長女が、ナラティブをテーマに卒論執筆中です。
締め切りが1月末なのですが、今更ながら、石井均さんの本、薦めました。
参考になると良いです。
ホリデーさん、こんばんは
昨日、送信しましたが2回エラー表示となり、その後送信しましたが、できていないかもしれませんので、再度送信します。内容は少し変えています。
(ダブっていたらすません)
グレート義太夫さんは、糖尿病で以前からテレビや雑誌に取り上げられていましたね
また、俳優の渡辺 徹さんも同様ですね。糖尿病発症後、妻の榊原 郁恵さんと食事療法で頑張っていたようですが、地方ロケに行くと反動で暴飲暴食していたようですね。結果、現在人工透析のようです
お二人とも良くなって頂きたいですね
義太夫さんも感じているように、少々高血糖になっても痛くも痒くもないのでそのままにしている、そのように治療をしない人は結構いるのでしょうね。
悪くなれば治療すればいいやと、安易に考えているのではないかと思います。
しかし糖尿病は、かなり悪くならないと症状が出てこない、そして症状がでてきた時はもう手遅れの場合が多いようです。特に腎臓が悪くなっていたら、どんな名医でも進行を食い止めるのはなかなか難しいでしょうね。
これは以前書きました食後高血糖によりAGEsが蓄積されている為です。
高血糖の記憶ですね。
AGEsを蓄積させない為にも、糖尿病治療は早ければ早いほどいいです。
糖質制限食(スーパー)にすれば食後180を超える高血糖にはなりませんので、このAGEsは発生しませんから、その意味でも糖質制限は有効だと思います。
*寺田寅彦さんのお名前が出てきましたが、確か「災難は忘れたころにやってくる」と云われた方ではなかったかと・・・
また、寺田先生は腹が立つと分厚い本を「このバカたれが!」と言って床に叩きつけて気分転換をしたと何かに書いてあったような気もします。
(記憶違いかもしれません)
モン吉さん
AGEsが原因であることはかなりの確度で間違いなさそうですね。
過去の蓄積が消え去りそうにないことは残念ですね。
あと、食事由来のAGEsが問題なのか、体内で生成されるものが問題なのかなどわからないことが多いです。
AGEs対策を医学が確立するまで、合併症なく過ごせるとよいものだと思います。
モン吉さんも寺田寅彦さん、ご存知でしたか。
私は名前しかしらず、著名な学者だということくらいしか知らず、なんとも、、です。
ホリデーさん
AGEsは高血糖の結果、体内で生成されるものが問題ですが、食べ物に含まれるAGEsについては、有害、無害と見解が分かれているようです。
私は食べ物に含まれる物も、有害ではないかと思っています。
ですから特に焦げた部分は食べないようにしていますし、焼かずに煮て食べられる物は煮ています。
以前書込みしましたが、既に体内に蓄積したAGEsは、緑茶等に含まれるカテキンで取り除けるというという情報もありますので、緑茶をよく飲むようにしています。
ホリデーさんも緑茶はよく飲まれると仰られていましたね。
モン吉さん
これから、暑くなるまでの半年間くらいは家出の水分補給は緑茶中心です。
お茶はコーヒーより面倒でない、というずぼらな理由です。
AGEs対策にもなるのならラッキーです。