しらねのぞるばさんの情報選択基準

しらねのぞるばさんから続けて二つのコメントをいただきました。
そのまま記事にします。

さいしょは、ぞるばさんの情報選択基準です。あえてこれを説明していただいたのは、ご自分のコメントをどう読んでほしいのか、についてのメッセージと受け止めました。
コメントを以下そのまま記事にします。

【法四依】の教え

Plant-Based Foodについて述べる前に,まず私の情報選択基準について説明させてください.

私の実家近くには寺があり,そこの住職は,丁度 今のキリスト教の教会のように,日曜日に近所の子供たちを集めて,仏教説話を面白おかしく話してくれていました.私もよく通っていました. その法話の中に「法四依」(ほうしえ)というものがあり,そのうちの2つ;

[依智不依識]
智に依りて識に依らず
=何が正しいかをよく考えて,聞きかじりの知識に振り回されない

[依法不依人]
法に依りて人に依らず
=権威のある人の言うことだからと鵜呑みにせず,真理かどうかを考える
(「法」は法律のことではなく、ここでは「仏法」=すなわち「真理」)

子供向けの説明なので,この解釈であっているかどうか不明ですが,今に至るも強く印象に残っています.

では,自分の糖尿病克服において何を信ずるべきなのか,信じられる順番について考えてみますと,

【1】自分のデータが圧倒的に信頼性が高い

自分の体で取ったデータなのですから,それが世間一般に言われていることや,医学論文と違っていても,こちらの方が正しいと考えます.

よく経験するのは,「2型糖尿病では1gの糖質で血糖値が3mg/dl上がる」と言われていますが,それは多くの人の平均値に過ぎません.2の人も5の人もいるでしょう. また同じ人が同じものを食べても日によっては3だったり4だったりします. しかし測定器が壊れていたのでない限り,自分で測定したデータこそが,自分にとってもっとも信頼性のおけるデータなのです. 同様に,これをやったら(食べたら)こんなに良くなった,というのも自分ではそうならなければ,自分のデータを信じます.

【2】次いで医学文献で報告されている「事実」の部分

加工された情報ではなく,元となった未加工のDataは信ずる,ということです.

医学論文では,試験・実験を行い,その測定値を統計解析した結果がまとめられていますが,信ずるべきなのは,考察・結論の部分ではなくて,生データの部分,つまり事実のみです.生データまでバルサルタン(ディオバン)事件のように改竄されていたらどうしようもありませんが,それはめったにないだろうと,一応信じることにしています.

文献の結論をそのままでは信用しないのは,以下の理由です.

A,B,Cの3薬の薬効比較試験で,Aが優れて有効であったと結論に書かれている臨床報告があったとします. しかし,試験に参加した被験者全員が一人残らずAが有効だったという例はみたことがありません. 生データが開示されている場合に限られますが,原文を見ると,たしかにAが有効だった人が最多数だった(=だから【統計的には】Aが有効という結論)としても 少数だがAよりもB,Cが著効した人もいる.中にはAでかえって悪化した人もいる場合さえあります.

では,このデータをみて,「自分にはAが必ず効く」と断言できるでしょうか? 自分はAでは悪化してB,Cが著効したケースにあたるのかもしれません. 医師がこの論文を読んで,第一選択薬としてAを処方するのはやむを得ないでしょう.確率に頼って治療するしかないからです.しかし論文を正しく読んでいる医師ならば,ほとんどの人に有効であったAが,どうしてBやCが効いた人には有効でなかったのか,その原因を別の論文で探して,Aが適しない人にAを投与していしまうのを避けようとするでしょう.それが本当のEBMです.

Dataは「事実」ですから曲げられませんが,論文本文での「主張」は自由です.

多くの人が(専門家でも)『医学論文にこれこれのことが書いてあった』という場合,そのほとんどはAbstractとConclusionしか見ていません.極端な例では自分は論文を読んでいないのに,他の人の言うことを受け売りして,『あの論文にはこう書いてある(らしい)』という人すらいます.もちろん()内は口にしません.多忙なこともあり,原文全文まで読む医者はきわめて稀なのです.せいぜい製薬会社のMRが持ってくる抄録翻訳に目を通すくらいでしょう.まして,Dataまで詳細に吟味する人はほとんどいません.例外は『北品川藤クリニック院長のブログ』(旧 六号通り診療所所長のブログ)の石原先生などごく一部です.

https://rokushin.blog.so-net.ne.jp/

どんなに話題になった論文でも,その臨床的意義を評価するのは 医者でも困難だと医師自身が語っています.

「医療記事は鵜呑みにしてはいけない」 2018/10/25 日経ビジネス
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000038/102400047/?i_cid=nbpnbo_tp

以上が私の信頼する情報です. そして3,4がなくて5番目くらいに;

【5】他人の実例
『私はこれで「完治」又は「寛解」した』という人の話.「その人限定の事実」であったと理解するにとどめています.参考にはしますが,鵜呑みにはしません.ご本人の結論はそれはそれとして尊重しますが,ブログには自分のアピールしたいこと、つまり「主張」しか書いてないことが多いからです.

そこで上記の【2】の方針のもとに,私がPlant-Based Foodの文献を読んで考えた結果を次のコメントに記します. 長文連投でごめんなさい.

コメント

  1. ろんり~うるふ より:

    ホリデーさんこんばんわ!
    自分も「しらねのぞるばさん」の考えに近いです。
    自分自身のデータ(反応)を重視してます。

    世の中、万能・絶対とか無いと自分としては思います。
    「絶対」全員に起こるのは「必ずくる死」くらいしか思いつきません。

    後は、他人は別なのかなと。
    自分自身も日々体内は変化してるのは分かります。
    自分の場合は「自律神経」がです。
    これは日内変動も大きい感じです。

    • ホリデー より:

      じぶん自身のデータを重視する、のほかに、自分と他人は同じではない、というのも大切ですね。
      ところが、人間皆同じとか共通することもあるのでややこしくなっていしまいますね。