糖質制限と耐糖能

糖質制限と耐糖能の関係についてモン吉さんからコメントをいただきました。有益な情報だと思うので一部に私の感想を加えて記事にします。
青がモン吉さんのコメント、黒が私の感想です。

糖質制限と耐糖能の関係は以前から云われていましたね。それについては江部先生がブログで何度か取り上げておられますので貼り付けておきます。2017年2月1日の記事です。以下、すみませんが長文になります。

糖質制限食実践中の耐糖能検査について説明しておきます。
75g経口ブドウ糖負荷試験実施前3日間は、150g/日以上の糖質摂取が、日本糖尿病学会の推奨となっています。

糖質制限をあるていどの期間続けた正常人が、いきなり、ブドウ糖負荷試験あるいは糖質一人前摂取で、耐糖能低下のように見えるデータがでることが、時にあります。私見ですが、これは、追加分泌インスリンを出す必要がほとんどない糖質制限食を続けていた場合には、糖質摂取に対して、β細胞が準備ができていない状態であった可能性があります。従って、150g/日以上の糖質を3日間摂取することで準備を整えてから検査をすると、β細胞の準備ができているので、もともと正常型だった人なら耐糖能が普通に戻ると思われます。

スーパー糖質制限食実践でβ細胞は休養できていて、なおかつ血糖コントロール良好ですので、高血糖によりβ細胞が障害されている可能性はありません。ですから、β細胞のインスリン分泌能力も準備さえ整えば、正常に作用すると考えられます。つまり、正常人が糖質制限中にいきなり糖質摂取したとき、一見耐糖能が低下したようなデータが出ることがありますが、これは本当にβ細胞が障害されて耐糖能が落ちたのではないので、心配ないということです。

糖質制限食実践者においては、食後高血糖によるβ細胞の障害はないので、本当にインスリン分泌能が低下するということは考えられません。
一方、私、江部康二の場合は、β細胞はすでに何割かは壊れている糖尿人です。壊れたβ細胞は決して元には戻りません。

それで2002年糖尿病発覚以来、2017年現在まで、足かけ16年、スーパー糖質制限食を実践しています。検査データは全て正常で合併症は皆無です。従って江部康二の耐糖能は、見かけ上ではなく本当に低下していますが、糖質制限食を続ける限りは、正常人です。一方、糖質を摂取すれば糖尿人です。

人類は狩猟・採集時代の700万年間は糖質制限食です。穀物食(高糖質食)は農耕後の1万年間だけです。どちらが人類にとって自然な食事であるかは明白です。 糖質制限食は人類本来の食事であり、人類の健康食です。私はこのように思いますので、一生、美味しく楽しく糖質制限食を続けて、健康ライフを維持していきたいと思います。

以上、江部先生のご意見です。

江部先生が説明されている75g経口ブドウ糖負荷試験については納得のいく説明であると思います。
糖質制限と耐糖能については、それ以外にもネット情報として糖質を取らないこと自体が耐糖能を下げる、脂質を取ることが耐糖能を下げるという情報があり、ネット情報に接する2型糖尿病患者は大いに迷うところではないかと思います(自分とほかの人を一緒にしてはいけませんが私は悩みます)

糖質制限で耐糖能が下がる情報の代表選手が 王城恋太氏のブログ であると思います。(批判されている江部先生ほかの医師が反論しないことも、素人には悩ましいところです。)
さらに、くるくるさんに紹介いただいた医師のブログも糖質制限の問題点を指摘しています。

私はこの前の記事で紹介した米国糖尿病学会の言うように
糖尿病の人には、誰にも万能な(“one size fits all” )食事パターンはない
多くの異なる摂食パターンが糖尿病管理に役立つ。
が、しっくり来ています。
「この方法しかない」とか「他の方法が間違っている」という情報は、その根拠が示されていないものは考慮に値しない、惑わされないことにしました。(その主張が正しいかもしれませんが、判断のしようがないので。だた、確率的には一方的な主張は正しくない場合が多いように思います)

もし耐糖能が少しくらい低下していても、糖質を摂らなければ血糖値は上がらないのですから私は問題ないと思っています。月のうちお寿司を食べたり、カレーライスを食べたり、お好み焼きを食べたりしますが、血糖値が200位になっても、月に数回のことですから私は問題ないと思って、この12年間やってきました。

私自身は糖質制限12年目ですが、耐糖能が落ちているようには感じていません。

先生も仰られているように、正常な細胞がどれ位残っているかによるのではないでしょうか?
そこは一人ひとり状態は違うと思います。これは自分で色々やってみて、自分に合う方法を見つけ出す以外にないのではと思います。

又、私は糖質制限食については、糖尿病だけにこだわっていません。
糖質制限食により、ガン等色々な成人病の予防、アンチエイジング、うつ病など精神疾患の改善効果、アトピーの改善、体重の適正化、体力がつく、血液の正常化等、実践者から沢山の効果が報告されています。
仮に少しくらい耐糖能が低下しても、それ以上のメリットが多くあると思います。
後は自分で考えて、どうするかを決めるしかないと思います。

モン吉さんは糖質制限数年を経て、耐糖能が改善し、ぼた餅テストで大きな血糖値上昇がなかったということです。週に一回程度はカレーやお好み焼きですい臓を頑張らせていたとのことなので、それがよかったのかもしれません。私のその方法を真似ようかと思いますが、50gも糖質を取ると250を超えそうなのでさすがになかなか踏み切れていません。

江部先生やモン吉さんが10年以上の糖質制限を継続し体調がよい状態であることが特別な例外なのか自分にも起こる可能性が高いと考えるか、それは将来のことですから何とも言えません。しかし、医学的なエビデンスとは言えなくても、マウスが糖質制限で老化する実験よりは、私は人間のケースのほうが信頼性が高いと思っています。

モン吉さんは糖質制限食については、糖尿病だけ出なく様々なメリットを信じていらっしゃいます。私は今のところはまだ自分の実感として血糖コントロールがうまくいく以外にには大きなメリットを感じてはいません。その部分では確信を持ててはいません。来年花粉症がよくならないかなあと期待はしています。

 

コメント

  1. くるくる より:

    こんにちわ

    王城さんの最新記事にはまさに逆のことが書かれているような・・
    糖質制限で膵臓のβ細胞は休養できてるどころか、脂肪の摂取増えてるなら
    常に遊離脂肪酸にさらされ、脂肪毒というダメージを受け続け、機能低下していく・・
    そう考えるとやっぱり怖いですよね。
    江部先生のように「一生糖質制限します」って明るく言える人ならいいのでしょうが。
    健康や食事は人生の目的ではないので、喜びや楽しみを大きく奪ってまで続けるもの
    ではないと思うし、悩むところですね。
    私の母も糖尿病歴30年くらいで、現在はビクトーザ(インクレチンのアナログ)の注射を一日一回のみで、3食を介護施設で食べています。他の人と同じ普通食で、成分表を見せてもらうと糖質は一日に250gを超えています。
    10年ほど前に眼底出血して手術しましたが、その後は合併症もなく、ガンなどもなく、現在84歳でそれなりに元気に暮らしています。食事療法も運動療法も取り組んだこともありません。
    一日一回注射打つだけで普通の食事ができて合併症もなく80歳を超えているのだから
    それはそれで幸せなことかな、あんまり考えすぎるのも馬鹿みたいかな、なんてことも時々思います(笑)

    • ホリデー より:

      王城恋太さん、多くの論文を引用されて博識な方ですね。また、執拗に糖質制限を否定されているのが印象的です。人の心をつかむのが上手な方だとも思います。せっかく論文を紹介していただいているので、時間があるときは紹介された論文やアブストラクト程度は読むようにしています。その論文が何を言っているのか、とそれをどう引用しているか、論旨の組み立て方は非専門家でも理解できることはあります。そのうえで自分なりにどう考えるか、ですね。

      お母様にとっては、それを望むならなによりですね。
      また、糖尿病対処として何がよいのか身内に事例があると考えてしまうのもわかるような気がします。

  2. モン吉 より:

    ホリデーさん、こんばんは

    記事に取り上げて頂いて、ありがとうございます。

    糖尿病の食事療法等は色々あり、それぞれに効果はあると思います。
    例えばスポーツは体に良いからと始める時に、何をするかですね
    サッカー、バスケ、ランニング、水泳、柔道、卓球・・・色々あります。
    それぞれ一長一短あると思います。

    サッカーしている人が、卓球の短所を批判したり、卓球している人が柔道の短所を
    批判しても、あまり意味の無い事と同じように、それぞれ効果の出ている食事療法を
    お互いが批判しても、あまり意味の無い事と思います。
    これは本人の意思で、納得してやっているのですから。
    批判するなら合併症をずっと出し続けている、従来のカロリー制限食を批判すべきと思います。

    どんな食事療法でもカロリー不足になったり、ビタミン不足になったりすれば
    体調が悪くなるのは、当然ですし、糖質制限はカロリー無制限ではありません。。
    又、ビタミン不足を補うのにビタミン剤を摂り続けると、肝臓を悪くする事がありますので
    注意が必要です。ビタミン剤、サプリ等はあまり使わない方が良いですね。

    私は糖質制限食12年目ですが、発覚当初HbA1cは10.7でしたが現在はずっと5.5~5.9で安定しています。
    他に、パソコンを使うようになってからか視力が悪くなり、40半ばから0.6位でメガネを
    かけていましたが、糖尿病になり52歳から糖質制限を始めてから、視力がどんどん良くなり
    現在左右とも1.5あります。これも糖質制限のおかげかな?と思っています。
    又、カゼやインフルエンザにかかった事もありません。(予防注射もしていません)
    数か月前にAGEsの検査をしてもらいましたが、その時の肌年齢は実年齢より14歳も
    若く出て、先生も驚いておられました。アンチエイジング効果もあると思います。
    他にも若返り効果があり、詳しくは書けませんが、他の方も何人か書込みされていました。
    今のところ体調も良好ですので、私にはこれがあっていると思います。

    どうしてもご飯を以前のように毎日食べたいなら、他の方法でその効果があるなら、それを選ぶのも当然有りだと思います。
    今のところ、全てを満足させる方法は、無ないのではないかと思います。
    どこで妥協するかですね。
    1日も早いiPS細胞の活用が待たれますね

  3. モン吉 より:

    ホリデーさん、追加です。

    糖質制限食の効果で書き忘れましたが、既に尿たんぱくが出て合併症になっていた方が
    糖質制限で尿たんぱくがなくなり、尿中微量アルブミンも正常になったと書込みされた方が
    数名おられましたし、糖尿病性網膜症が改善したと書込みされた方もありました。
    特に重症だった都内、鈴木さんは糖質制限で、21年間で悪化した合併症が壁的に改善し、インスリンから離脱できたと何度も書込みされています。
    既に合併症になった方が、他の食事療法でも改善出来るのか、その情報が欲しいですね。

    • ホリデー より:

      モン吉さん
      情報ありがとうございます。
      スポーツの例、わかりやすいですね。サーッカーしている人がバスケしている人に手でドリブルしていてもアサッカーのドリブルはうまくならないよ、と言っているようなものですかね。
      先日の医師の話でも残念だと思うのは、江部先生のブログで報告されているうまくいっている人や合併症が改善している人の事実を無視しているように思えることです。同じことをやっていてうまくいく場合とうまくいかない場合がある、ことから始めればどんな場合にうまくいくか(個人の状態とか)、どうすればさらに多くの人にうまくいくか、検討ができて治療の進歩にもつながると思うんですけど。

      このブログでモン吉さんの事例で、長期的に糖質制限がうまくいっている例を見る人も少しはいると思います。それだけでもブログを続ける意味があると思っています。

  4. CJ より:

    糖質制限で耐糖能が悪化する!というなら、糖質を普通にとってたら耐糖能は悪化せず糖尿病にならないんでしょうかね…?
    そんなことはなく、普通にご飯やパスタ、ラーメンなどを食べまくるような普通の生活してた人が糖尿病になってる例が多いと思いますが…。まぁ糖質制限反対派も、糖質取りすぎは推奨してないみたいですけどw

    カロリー制限食と運動療法を徹底した久山町研究すら、40歳以上男性の約六割に何らかの糖代謝異常があったようですし。
    http://www.hisayama.med.kyushu-u.ac.jp/column/index.html

    これだとほぼ全員に75g糖負荷試験で調査したようですが、普通の健康診断は空腹時血糖値しか測りませんからね。日本全体でも、同じ条件で調査したら似たような結果が出るのでは…。

    若いうちで筋トレ頑張れる人ならいいですが、加齢と共に糖代謝が落ちていくことが多いとしたら、結局糖質制限などで血糖値上げないようにする以外道は無いのでは?と思います。
    糖質制限反対派は威勢がいい割に代案が微妙な人が多いですし、糖質制限以外に再現性高い手法は現時点でほぼないと思いますが…。残念ですが大多数の一般庶民はズボラなので、高負荷の筋トレなんて続きませんw

    • ホリデー より:

      CJさん
      コメントありがとうございます。
      久山町研究ですか。以前記事にしようかちょっと迷ったのですが、糖尿病治療に役立つ研究成果がなかった、ということ以外取り上げることがなさそうでやめました。ほかの病気などについてはいろいろな成果があったようですが、糖尿病患者としては残念ですね。