糖尿病関連情報との付き合い方

カロリー制限か糖質制限か、それとも脂質制限か、糖質制限は耐糖能が悪くなるのか、などなど結論が異なる情報がたくさんあふれています。ネットで情報を集めて自分で糖尿病治療に取り組もうとすると医療や栄養学などの専門家でない2型糖尿病患者は戸惑ってしまいます。

医師の指示に従ってカロリー制限と薬で対処していたほうがストレスも少なくトータルとしては健康に良いのかも、と思ったりもします。あまり悩みすぎてはいけませんね。

最近、情報に振り回されなくなってきたので、素人なりにネットや書籍、TVの健康番組などでの食事や糖尿病治療関連情報についての接し方について考えていることを書いてみます。

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2型糖尿病治療に効果のある食事法は一つではない

米国糖尿病学会のホームページの食事パターンをみて自分の考えに確信を持ちました。
米国糖尿病学会のホームページには
地中海食
ベジタリアンor began
低炭水化物食
低脂質食
DASH食
が示されています。これらはすべて信頼できる調査研究で効果があるとされているから掲載されていると思われます。
ということは
様々な食事パターンが有効だということです。
また、低炭水化物食と低脂質食は、単純化すると低炭水化物食(糖質× 脂質〇)、低脂質食(糖質〇 脂質×)ですから相いれない対極の考え方です。
そのどちらも効果があると調査研究で示されているということは、調査研究というのは研究として間違っていなくても唯一の真実を示しているものではない、ということです。糖尿病に有効な食事法も様々ある、ということですね。

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エビデンスは真実を示すわけではない

また、エビデンスとかエビデンスレベルと言われると、真実を示していると思いがちですが、主に統計的確からしさを基準としているエビデンスレベルが重要視されるということは、エビデンスレベルの低い研究は結論がひっくり返ることがあるとも言えます。

DPP4阻害薬-糖尿病治療への効果はどの程度あるのかで紹介した医師の言葉がひとつの例ではないでしょうか。
もう一つ言えることとしては、「小規模ランダム化比較試験のメタ分析には要注意」ということがあります。小規模研究の結果が、一つの大規模な質の高い試験によって否定されるというのは、糖尿病に限らずしばしば経験することです。注意したいものです。

糖質制限と脂質制限のように対局で相いれないはずの方法にどちらも効果ありとするエビデンスがあり、エビデンスがあるといっても違う研究で結論がひっくり返ることはある、ということです。

少なくとも糖尿病の食事の効果に関するエビデンスの信頼性はその程度のもの、と思ったほうがよいのではないでしょうか。

となると、例えばそれぞれが自分の主張にあうエビデンスを紹介しているだけなので、真実を紹介しているのではなく、自分の考えを披歴しているだけと受け止めたほうがよい、と思います。

江部先生がブログで「エビデンスレベルが、、、」と言っていますが、エビデンスレベルが高くてもその研究と反対の結果のエビデンスもあるわけで、ましてエビデンスレベルが低い論文などで主張されてもいちいち反論するのにも労力をかける価値がないので「エビデンスレベルが、、、」で切り捨てているのではないかと推測します。

更に、自分が信じる考えの情報だけに接するのは心地よいですが、それはリスクもあることも知っておく必要があると思います。

また、1つの真実、とは言えないのに、医師などの専門家が自分の主張にあうエビデンスだけを持ってきて、あたかも真実であるように非専門家に伝えるのは、専門家の倫理に反するものとではないのかと思います。

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健康な人向けの食事法がと2型糖尿病に当てはまるとは限らない

最近の例では、白い炭水化物は良いくないが、茶色い炭水化物は良い、という説がありましたね。
エビデンスがあるから、ということだったと思いますが、糖尿病でない人と糖尿病の人では糖代謝のメカニズムが違うのですから、少なくとも糖質摂取のついては日糖尿病の人のデータが糖尿病患者に当てはまるものではないので、それに振り回されないようにしたほうがよいと思います。
TVなどでも血糖値が上がらない食品とか出てくることがありますが、ほとんどの場合、糖代謝が正常な非糖尿病の人の場合で、糖尿病患者とは別世界の話と思ったほうがよいのではないでしょうか。

このブログでもセブンイレブンの「こだわりたまごのサンド」は血糖値を上げない、が1つの事例です。
*ただ、「こだわりたまごのサンド」、糖質20ℊ以下ですから、軽い昼食には使えることはわかったので貴重な情報でした。一戸さん、ありがとうございました。

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研究の結論を(都合よく)拡大解釈していると思われる例がある

例えば糖質50%摂取と糖質70%摂取で比較して何らかの結果がときに、だから「糖質制限は、、、」と結論を出すのはあくまで仮説です。事実は糖質50%摂取と70%摂取でその研究結果では差があったというだけのことです。仮にそれがアメリカ人での結果だったら日本人での適応できるか根拠が必要です。また糖質50%と70%の差が糖質20%でも適用できるかも検討する必要があります。それらは科学的、専門的な検討であると思うのですが、そういうことを抜きにして都合よく論文を引用して結論に結び付けている例もかなりあるように感じています。
そういう論をうまく展開されるともっともらしく思えるのが厄介ですが、そのような主張の結論にすぐに飛びつかないことも重要だと思います。
多くの場合、反対の説の研究結果もあるので。

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実際の例から

この手の話が多いなあと思う事例です。ある書籍の記述です。糖質制限の問題点・危険性を指摘しています。

「2010年のハーバード大学の研究の報告では、糖質制限食は12%、死亡リスクを増大させる」

だから糖質制限は危険だ、という話になるかというと、反対の論文(炭水化物摂取が多いと死亡率が高い)という研究もあって、大規模に調査しているから真実に近いという学問ではないらしい、と思われます。

12%の増加というのは、大きな違いに見えます。糖質制限以外2.5万人で25人死亡(死亡率0.1%)と糖質制限2.5万人で28人の死亡(死亡率0.112%)だとしたら、糖質制限は危険である、となるでしょうか。
死亡率や病気の発症率などはそのそも比率が小さく、統計的に有意な差であっても実用上は大した違いでないことがあるように思います。差をパーセントだけであらわしている場合は、絶対値で考えてみると血糖値がった見え方がします。(プレゼンテーションではよく使われる手法かもしれません)

更に、この場合の糖質制限食とはどのような定義なのか、を示されないと、私の行っている糖質制限に当てはまる話なのか判断できません。

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糖尿病関連情報との付き合い方

結局、糖尿病の食事法は、何がよいのか現在の科学では結論が出ていない。
諸説あるがあくまで仮説である。
研究結果は事実でも、それが唯一の真実ではないし、研究結果からの仮説をあたかも真実のように伝えているケースが多い。

このように考えると、特に 「これが真実だ」という論調の説には疑わしい点があり、また、どこに矛盾があるのか見抜けることも多くなってきたように思います。

 

コメント

  1. painn より:

    ホリデーさん
    こんにちわ!
    良いお盆休みをすごせましたか?
    いつも、為になるブログをありがとうございます❣️
    とにかく、これから長くお付き合いしていく糖尿病と、どの様に、お付き合いしていくのか。
    ストレスの少ない血糖コントロールは、自分はどういう方法が、良いのか!
    あわよくば、耐糖能が少しでも良くなりたい。
    などなど、右往左往してしまいます。でも、楽しんでやってみたり、お金の許す限り、サプリなども試してみるのも、良いかなぁ。と思います。
    でも、一番は、毎日 何を食べるか! なのですよね❣️

    • ホリデー より:

      painnさん
      サプリですか。いろいろ試してみるのもよいかもしれませんね。友人からは、「漢方がいいかも。高いけど」と言われました。1か月2~3万円位するようです。方法もいろいろですね。
      とりあえず、こちら埼玉は、この二日間、涼しくて快適です。