日本人の糖尿病増加の原因がわかりました

この記事は、前の記事にから続いています。この記事だけでもわかりますが、よろしければ前の記事もご覧ください。

日本人の糖質摂取量が減っているのに糖尿病増えているのは何故?

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日本人の糖尿病の増加

前回も紹介した「国民栄養・健康調査」のデータです。という調査です。

HbA1c(NGSP)値が6.5%以上の人を「糖尿病が強く疑われる」
HbA1c値が6.0%~6.5%未満を「糖尿病の可能性を否定できない」

と区分した推定値です。

(画像は 糖尿病ネットワークから引用させていただきました。)

さてこの原因は何なのでしょうか。摂取栄養素の比率(炭水化物、脂質、たんぱく質)はこの30年間変わっていないことを前回の記事で指摘しました。

では糖尿病増加の原因は栄養素以外の食事の問題でしょうか。

運動不足が原因でしょうか。

ストレスも糖尿病の原因になります。ストレスの増加が原因でしょうか。

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高齢化と患者率

(出所)社会実情データ図録

全人口(総務庁「人口推計」)に占める糖尿病患者(厚労省「患者調査」)比率
点線は2011年

糖尿病は年齢が上がるほど、患者率(有病率)が高まること、特に50歳代以上で大きく増えることがわかります。ということは、日本の高齢化(50歳以上の人口は増えたこと)が糖尿病増加の要因でしょうか。

これは2000年当時の日本の人口いピラミッドです。段階の世代が50歳代なかばに近づこうとしています。このころから急に糖尿病患者が増えことが考えられます。

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年齢比率を固定化したシミュレーション

「国民栄養・健康調査」のデータから、年齢構成の影響を排除したら、患者数の変化はどうなるかシミュレーションをしてみました。

①糖尿病患者及び疑われる者の推移(変化)は、「国民栄養・健康調査」の糖尿病患者及び疑われる者の年齢別の割合を使用しました。

②年齢別の人口構成は固定とする(国勢調査の2000年(平成12年)の年齢別人口を用いました)

シミュレーションの結果は、平成19年まで増加しその後減少していることになります。

平成19年だけが突出して高く、あとは大きくは変化していない、とも見えます。(平成19年調査までHbA1cがJDS基準だったのですが、すでに医療機関などがNDSP値(JDS値より0.4高い)で測定していて、間違って患者数が増えた、ということは十分考えられます。)

いずれにしても、年齢構成を変えないシミュレーションではここ10年間は糖尿病患者は増えていません。

つまり、ここ20年の糖尿病患者の増加は単に人口の高齢化によるものであって、食事、運動などの原因によるものではないと言ってよさそうです。

食事とか運動ななどに糖尿病増加の原因があるのなら、患者としても治療の参考になると思ったのですが、年齢の問題となると、その現実を受け止める、ということ以外に、対策の打ちようがないですね。
結構時間をかけてあれこれデータを見たのですが、あまりに当たり前の結論になってしまいました。

ただ、少なくともここ20~30年の糖尿病増加の原因をあれこれ議論することは、ほとんど意味がないということがわかりました。

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余談-似ている事例

糖尿病とは関係ない話です。

20年くらい前自殺者の増加が社会的問題として取り上げられました。確か1998年ころから自殺者数が3万人を超え、厚労省を中心に行政、企業でも取り組みが行われました。その効果か2011年には3万人を割り込み、今は2万1千人位まで減少しています。

(出所)社会実情データ図録

確かに、自殺者数は増えています。
不況の時には自殺差が増えるようです。

これを先ほどのシミレーションと同じように人口構成を固定してシミュレーションすると少し違う見え方になります。

(出所)社会実情データ図録

好景気の時だけ自殺者が減り、その他の期間はほぼ一定、というふうに見えます。

自殺率(人口に占める比率)を年齢別にみると、男性の場合、年齢が高くなると自殺率が上がり、50歳代でピークを迎え、60歳代になると減少します。
日本の自殺者数が3万人を超えていた時期は、団塊の世代が50歳だった期間にほぼ一致します。

自殺者の増加と減少も社会の変化の影響ではなく(影響がゼロとは言いませんが)、人口構成特に団塊の世代の人数の多さの影響であるといってもよさそうです。

団塊の世代が日本社会に与える影響は大きいということですね。

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