合併症予防と血糖コントロール-目標値は?

これまで二人の糖尿病患者の知人と話をしました。二人とも60歳代後半の男性です。二人とも60歳代後半の男性です。二人ともカロリー制限と薬で糖尿病に対処しています。私の行っている糖質制限とは血糖コントロールの目標も異なるようです。

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二人の糖尿病患者の糖尿病への関心

一人はHbA1c6.8糖尿病の薬2種類と尿酸値を下げる薬を服用、もう一人はHbA1c6.2糖尿病の薬1種類(ジャヌビア:DPP4阻害薬)と血圧を下げる薬を服用、でした。
二人ともコントロール目標としてHbA1cを意識しているようで、私のHbA1cも話題になりました。共通していたのは、
・HbA1cを意識していて、血糖コントロールはなんとかできている自覚があること
・空腹時血糖値や食後高血糖については関心がなさそうであること
・処方されている薬について、糖尿病の薬であること以外どんなものなのか知らないようであること
でした。

これでコントロールできているなら、自分は厳格に血糖コントロールしようとしすぎではないのか、とも思いました。

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合併症予防の基準-日本糖尿病学会

糖尿病治療の目的は合併症の発症や進行を防いで健康に暮らすことです。

日本糖尿病学会の示している糖尿病患者の血糖コントロールは以下です。

目標血糖正常化をめざす際の目標合併症予防のための目標治療強化が困難な際の目標
HbA1c6.0%未満7.0%未満8.0%未満
備考薬なし、または服薬でも低血糖など副作用がない場合空腹時血糖値130未満、食後2時間値180未満が目安低血糖などの副作用等、難しい場合
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日本糖尿病学会と糖質制限治療の基準の比較

私は、江部先生の提唱する目標値にしています。
江部先生の目標値と日本糖尿病学会の目安を空腹時血糖値、食後ピーク血糖値、HbA1cで考えてみました。

設定として食後1時間で血糖値のピークを迎え、食後3時間で空腹時血糖値に戻る、食後2時間値は食後1時間と3時間の中間値とします。
Hba1cは、24時間の血糖値の単純平均とします。

表中*が目標として掲げられている数値でいずれもその数値未満が目標値とされています。

日本糖尿病学会合併症予防目標糖質制限治療目標(江部先生)私の現状
空腹時血糖値*130*110120
食後1時間 230*180165
食後2時間*180*140140
HbA1c6.85.96.1

日本糖尿病学会の基準のHbA1c7%未満だと、食後血糖値のピークは計算上毎回200を超えます。

カロリー制限の食事療法で推奨する食事で摂取する炭水化物量は、一日1800カロリー、炭水化物60%だして一食当たり360カロリー、
グラム換算すると90gになります。2型糖尿病患者の血糖値上昇は糖質1gあたり3ですから、毎食270の血糖値上昇となります。
薬と運動でピークをさえても100~150位は上昇しそうです。そうなるとHbA1cの6%台はかなり難しくなります。

私の知人の二人は、定食ものだとほとんどご飯を食べていないようだったので、1食あたり50g程度の糖質摂取なのかもしれません。そうなると薬の効果でHbA1c 6%台は達成できそうです。

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合併症予防のための血糖コントロールの目安は?

食後高血糖により動脈硬化が進行することは、日本糖尿病学会も江部先生も同様に指摘しています。
しかし、どの程度なのか、が異なっています。
日本糖尿病学会は食後2時間値が180未満、江部先生は食後のピークが180未満です。
江部先生の基準は食後血糖値が180を超えると血管が損傷するという研究結果から導き出されたものと理解しています。

HbA1c7%未満で合併症が予防できるのであれば、食後血糖値が200を超えても合併症のリスクはないのではないか、と考えられます。

外食した際や、提供された食事を取る際に、麺類やカレーなどが出てきたときは少しはいただいて血糖値が250~300位になることがあってもあまり気にしなくてもよいのであれば、日常生活はずいぶん楽になります。
そのあたりの程度が気になります。

糖尿病学会専門医から初診時に「必ず合併症になります」と言われたこともずっと引っかかています。初診時にはHbA1cが9・6でしたから、このままだと合併症になりますよ、という意味であればまあ良いのですが。

2回目火3回目の受診時に、食後高血糖や空腹時血糖値について質問したときは、HbA1cが順調に下がっている(9.6⇒8.6⇒7.3)のだから気にしなくてもよい、と言われました。「糖尿病患者はどのみちだんだん悪くなって合併症が出てくるのだから、細かいことは気にしても仕方ない」と医師は考えているのではないか、そんな気もします。

「糖尿病治療の手引き」(日本糖尿病学会 編著)には、この合併症予防の目標値について「合併症の進行を予防するには」と書いてあります。合併症の発生を防ぐためには、でないところも、合併症の発症が当然、とされているのではないか、とも感じます。

合併症の発症とHbA1cの関連について示しているわかりやすいデータがどこかにあるとよいのですが。

コメント

  1. モン吉 より:

    ホリデーさん、こんばんは

     日本糖尿病学会合併症予防目標 糖質制限治療目標(江部先生) 私の現状
    空腹時血糖値 *130     *110        120
    食後1時間       230     *180        165
    食後2時間      *180     *140        140
    HbA1c       6.8      5.9        6.1

    日本糖尿病学会の合併症予防目標はとても甘いと思います。それが証拠に年間の合併症発生患者は減っていません。
    食後1時間の血糖値が230では、AGEsが発生します。AGEsは合併症の原因の一つで、以前書きましたように一度発生したAGEsは寿命が約10年で、10年間血管壁を壊し続けると云われています。
    江部先生もその事からも、ピーク時で180以下に抑えるべきと仰られていると思います。

    >2回目火3回目の受診時に、食後高血糖や空腹時血糖値について質問したときは、HbA1cが順調に下がっている(9.6⇒8.6⇒7.3)のだから気にしなくてもよい、と言われました。「糖尿病患者はどのみちだんだん悪くなって合併症が出てくるのだから、細かいことは気にしても仕方ない」と医師は考えているのではないか、そんな気もします。

    糖質制限食が注目されるまでの糖尿病治療は、上記の通りでした。自分が不摂生な生活をしていたのだから自業自得だという考えでしたね。合併症になるのが少しでも遅くなればいいじゃないか、という考えの医師が多かったと思いましたし、そもそもそういう病気だという認識ですね。
    しかし、糖質制限食が出てきて一変しました。合併症は防げます。私が良い例です。
    従来の治療だったら間違いなく合併症になっています。
    以前、書込みしました三島4兄弟の例もそれを物語っていると思います。

    • ホリデー より:

      もん吉さん
      コメントありがとうございます。

      記事にしたいネタ満載です。ありがとうございます。

      三島4兄弟の例も、江部先生のブログをよく見ている人は知っているのでしょうが、そうでない人に知ってもらうためにも記事にしてもよいかとも思いました。

      以下、可能であれば情報教えてください。

      それよりも、モン吉さんご自身のケースが、糖質制限の成功例として紹介したいと思いました。いろんなブログで完治?したケースが出てきますが数か月で空腹時血糖値が下がり、食後血糖値の上昇も少なくなったケースばかりです。モン吉さんのケース(数年の長期間での改善)を知ってもらうことがインパクトになるようなきがしています。
      可能であれば、経過や糖質制限の実践など詳しく教えていただけるとありがたいです。

      「年間の合併症発生患者は減っていません。」とのことですが、データなどありますか?使ってもよい情報源を教えていただければ自分なりに整理して記事にしたいと思います。合併症の発生とHbA1cの関係とかわかるといいのですが。