糖尿病食事療法日米比較(8)ー纏め

糖尿病食事療法日米比較、漸く最終回です。
日本糖尿病学会のガイドラインは、纏めて記事にしようとするとエネルギーが消耗します。何を言いたいのかはっきりしないというか意図的にあいまいにしているようでもあり、また、糖質制限の血糖コントロール効果をこれは意図的に書かないようにしているから(として思えないから)です。
もちろん、これは私が糖質制限で糖尿病対処をしている糖尿病患者であるから感じることで、違う立場であれば違う感じ方になるのだと思います。

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日米の違い

さて、食事療法に関する日本糖尿病学会とアメリカ糖尿病学会の食事療法についての違いですが、あえて違いを強調しかつ端的に違いを表すと

アメリカ:「質」食事療法は食事パターンである
日  本:「量」食事療法は食事療法はカロリー制限(≒減量)である

2型糖尿病治療の食事療法は日米とも対象が肥満を中心に考えられえているようであり、総カロリーの減少と減量は密接不可分ですので、「質」「量」の違いと分けるのは強引であるのは承知の上ですが、量と質の視点で見ると、日米の記述についてより理解がしやすそうに思います。

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日  本

2型糖尿病の食事療法は、総エネルギーの適正化によって、種々の病態を是正すること

したがって、「糖質制限で血糖コントロール効果があった」と主張に対して、「総カロリーを減らしたからでしょ」とか、「減量効果が云々」といった糖質と血糖値の関係に全く触れない所で反論・否定が行われる、それでよいということになるのでしょうか。

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アメリカ

減  量

Weight loss works. There are lots of ways to lose weight, from changing your diet to getting more exercise, taking medications or even surgery.

減量は有効である。減量には食事から、運動、薬、手術まで様々な方法がある。

食事パターン

There is no magic diet for diabetes.
Many different eating patterns can help you manage your diabetes

糖尿病食事療法は多様に存在し、かつ人それぞれである。

(低炭水化物食にA1cをコントロールする効果は認められるが、菜食、地中海食にも認められている)

私は、何度も書きましたが、アメリカ糖尿病学会の立場(主張)は、

糖質制限に血糖コントロールのエビデンスがあるが、他の食事パターンでも効果はあり、人それぞれだから、糖質制限(のみ)を積極的に推奨してはいない。

と感じます。

ただ、コンセンサスレポートは様々な視点が盛り込まれており、そもそもいろんな食事パターンを肯定・否定する立場の人が集まったうえでのコンセンサス(合意)なので玉虫色になるのはやむを得ないところです。ですので「糖質制限を推奨している」と理解するのも「糖質制限を推奨しているわけではない」と理解するのもあり、と思います。(そういうふうな受け取り方をしてもよい、という意味では科学的というより政治的なレポートかもしれません)

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