「糖尿病の治療はHbA1cを下げればいいという誤解」をどう読むか

とむ＾＾2型糖尿病 さんから頂いた情報の話です。

最近『HbA1cが安定してても合併症はおきるのか』調べて
みました。すると、こんなのが・・ホリデーさんはどう思われますか？

糖尿病の治療はHbA1cを下げればいいという誤解!!

ほとんどの糖尿病患者さん、そして医師も「糖尿病の治療はHbA1cを下げることだ」
と思っていますが、この考えは100％間違っています。
この考えで治療していると最終的に血液透析になってしまう恐れがあります。
では、なぜHbA1cを下げることが正しい糖尿病の治療ではないのか、その理由を説明しましょう。
多くの患者さんは「HbA1cが高い（例えば10％以上）と危ない、合併症が起こる」。
一方、「HbA1cが低いと（例えば5.1％だと）安心、合併症は起きない」と教えられています。この教えが間違いなのです。
私のクリニックには本を読んで受診する方が多いです。「牧田先生の本には糖尿病で大切なのはHbA1cの値ではなく合併症のレベルだ」と書いてある。「確かにそうかもしれない。私のステージを調べて欲しい」。
ある患者さんですが、HbA1cは5.1％でした。血糖コントロールは完璧。しかし、尿アルブミン値（合併症のステージを調べる検査）は6400（18以下が正常です）でした。
この数値はもう血液透析が必要なレベルです。
つまり、HbA1cが5.1％でも合併症が進んで血液透析が必要な人がいるという事です。

内容はともかく、この手の話（論の展開）を見た時に、何の説明にもなっていないじゃないか、と冷静に見ないと、情報に振り回されてしまうと思います。

この内容を要約すると

主張(仮説)：「糖尿病の治療はHbA1cを下げることだ」は、100％間違っている。
理由：この教えが間違いだ。
裏付け：HbA1cは5.1％で尿アルブミン値6400の血液透析が必要なレベルの患者がいた

ということになります。
これを読んだら、まず、何の説明もされていない、と、受け止めることから始めたいものです。

糖尿病以外でも透析になる人はいるのだから、探せば5.1％でも透析レベルの人はいるでしょう。
もし過去20年HbA1cが10を超えていて、最近食事、運動、インスリンなどで5.1％になった糖尿病患者であれば、糖尿病腎症が相当進んでいる場合もあり得るでしょう。

自説に都合の良い事例だけを取り上げている場合は、疑ってみることも必要と思っています。

「私は糖質制限して倒れた。だから糖質制限は危険だ」と、論の展開としては何も変わりません。

引用した説が、「糖尿病は合併症を注意すべき、それはHbA1cだけ見ればよいというものではない」ということなら、
そんなこと、十分知ってますよ、という話です。

合併症を避けるために、合併症に関係する血糖値以外の検査を行うことは大いに大切だと思いますし、合併症予防と合併症の進行を防ぐことが糖尿病治療に重要なことであるのは百も承知です。血糖コントロールはそのためにするのですから。

HbA1cさえ下げればよいか、ということについては、そうではないが実際上は一つの目安になると思います。

食後血糖値との関係から江部先生が良いHbA1c と悪いHbA1cとブログに書かれています。
合併症を防ぐために、食後高血糖と血糖値変動幅の抑制が重要、という説で、これは納得性が高いと思っています。

私は食後血糖値一時間値160以下を、一つの目標にしていますが、おおむね達成できるとHbA1cは6.0程度です。（空腹時血糖値がどの程度なのかによって変わりますが）
毎日の血糖値は糖質量、体調などによりばらつきが多いので、HbA1cを見安にする、というのは患者としてもごく普通のことかな、と思います。

日本糖尿病学会の血統コントロール目標HBA1c 7.0未満のよりどころの一つの熊本スタディでは、HbA1c6.5以下だと合併症がほぼゼロです。
ですので、統計的にもHbA1cを目安にすることはそんなにおかしいことでもないと思います。
熊本スタディの観察期間は7年だっと思いますので、10年、20年のデータを見るとHbA1c6.5では安心できない、ということになるとは思います。