起床後の交感神経の活性化と血糖値の上昇

前回の記事(暁現象・糖新生のためか起床時血糖値が110程度で下げ止まり、なかなか改善しません。さらに、起床後125程度まで上昇します。、、、)にしらねのぞるばさんからコメントをいただきました。

 

起床時血糖値は下がっているので,もはやそれは 暁現象ではなくて,起床後の交感神経亢進ではないでしょうか?
1日のアドレナリン分泌の75%は,午前中に分泌されると聞いたことがあります.
睡眠から覚めて,体が『戦闘モード』に入る準備ですね.

実際 心臓発作はほとんど午前中に発生するとの報告もあります.

ただ健常人では,この程度の血糖値上昇は 基礎インスリン分泌で補正されるはずなのですが,そこがまだ追いつかないのでしょうね.
私も 定期健康診断で,『朝の血糖値が高いですね』と医師に言われることがありますが,『いえ,先生 起床時はもっと低かったんですよ』と答えても,医師は患者のたわごとだと思って全く信用しません.

この現象は,私も以前経験しておりますので,データを引っ張り出して記事にしてみます. 

 

「暁現象ではなくて,起床後の交感神経亢進」という指摘になるほどそういうことかも、と合点がいきました。

暁現象であれば、朝4時ころが最も血糖値が低くその後血糖値が上昇するパターンが想定されます。

であれば、起床時でも早い時刻の方が血糖値が低く遅い時刻だと血糖値が高くなりそうですが、私の起床時血糖値にはそのような傾向はみられません(起草時血糖値の測定時刻もしばらく記録してみたのですが傾向が出ませんでした)

また、ある時4時に目が覚めたので、血糖値を測定したら114、その後また寝て起床時6:30に測定したら103でした。
たった一度の測定で誤差も考えられますが、暁現象で血糖値が上昇するパターンは測定されませんでした。

ぞるばさんの説明の 体が『戦闘モード』に入る で思い出すのは、ストレス反応として説明される闘争・逃走反応です。

自律神経には、交感神経と副交感神経があり、交感神経が主に体を動かす活動のための反応を、副交感神経が主に体を休める反応をつかさどっています。

交感神経 -体を動かす
副交感神経-体を休める

強いストレスを受けると、人間は外敵に襲われた時と同じ体の反応を起こすというのが闘争・逃走反応です。

サルが肉食獣に襲われると、その敵と闘ったり逃げたりすることが必要で、そのために体を戦闘モードに整えるのが闘争・逃走反応で、主に交感神経によりその反応が生じます。

具体的な反応は例えば、

瞳を開く

敵をしっかり見る必要があります

心拍数が上がる
血圧が上がる
グリコーゲンの分解(血糖値の上昇)

闘ったり逃げたりするために、四肢の筋肉(骨を動かす筋肉)にエネルギーを供給する

消化活動は弱まる
性欲は減退する

そんなことをしてる場合ではありません

末梢の血管は収縮する

敵に襲われて出血が多くなることを防ぐためではないかと思われます。

アドレナリンを分泌する

上に書いたいろいろな反応を起こすためにアドレナリンを分泌するのであろうと思われます。もしかすると気合を入れるためかもしれません。

などです。

 

「起床後の交感神経亢進」は、闘争・逃走反応ではないのかもしれませんが、体を戦闘モードにする、という目的では概ね同じ反応と理解してよさそうです。

肝臓がグリコーゲンの分解してグルコースとして体に活動のためのエネルギーを供給しようとしているのに、私の場合はそのエネルギーを受け取るためのインスリン分泌が不十分(あるいはインスリン抵抗性)のため、血流のエネルギー(グルコース)を受け取ることができないわけです。

だから起床時血糖値が上がることにありますが、それは同時に
起床時に体が戦闘モードになりにくい、ということでもあります。

私と同じパターンの2型糖尿病患者は朝が弱い、ということになるのかもしれません。

少し脱線しますが、交感神経の活動が活性化すると、グリコーゲンの分解により血糖値の上昇することになります。
自律神経は、意識・意思でコントロールできませんが、体には交感神経を活性化するスイッチがあります。
不快な情動を感じると、交感神経は活性化します。
特に怒りは、そもそも戦闘モードと関連した情動で、交感神経を活性化します。
糖尿病患者の血糖コントロールを行うためには、心穏やかに過ごすこと、特に怒りをためないようにすることも大切、ということになりそうです。

ぞるばさん、今回も貴重なコメント、ご指摘ありがとうございました。
記事、楽しみに待っています。

コメント