アメリカ糖尿病学会のコンセンサスレポート

ちょっと古い話ですが、ドクターシミズのひとりごとに、インパクトのある記事が。

アメリカ糖尿病学会が出した歴史的なコンセンサスレポート 糖質制限を推進!

アメリカ糖尿病学会が出した歴史的なコンセンサスレポート 糖質制限を推進!
先日アメリカ糖尿病学会が発表した栄養療法のコンセンサスレポートを読んで、びっくりしました。歴史的な瞬間かもしれ…

江部先生のブログでは、

今回、ADAの、2019年4月発表の
「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・レポートでは、糖質制限食(Low-carbohydrate eating patterns)が、ボリュームとして一番大きく取り上げられていて、エビデンスも最も豊富であると記載してあり、この6年間で、大きく前進した感があります。(4/28)

米国糖尿病学会は、2019年4月、「成人糖尿病患者または予備軍患者への栄養療法」コンセンサス・レポートを発表しました。
その中で、エビデンスが最も豊富であるとして、糖質制限食が一番積極的に推奨されています。(5/4)

などの記述があります。

糖質制限に関するアメリカ糖尿病学会の姿勢については昨年何度か記事にしました。
糖質制限派の医師ブログなどでは、アメリカ糖尿病学会は糖質制限を認めている、という記述をよく見かけますが、私の印象は、積極的に認めているとは感じられない、というものでした。

さて、今回のコンセンサスレポートでは糖質制限についての姿勢に変化があったのでしょうか。

コンセンサスレポート読んでみました。
ボリュームが多いのでほとんどを読み飛ばし、かつ英語の理解不十分のため、正確な理解ではありませんが。興味を持ったことを紹介します。

コンセンサスレポートの目的など

 

レポートの冒頭部分です。

このコンセンサスレポートは、糖尿病患者と糖尿病予備軍(prediabetes)のために、栄養療法をその人に適したものにするための、エビデンスに基づくガイダンスを臨床専門家に提供することを目的としている。

実際にアメリカでできているかは別にして、栄養療法を一律に押し付けるのではなく、その人に適したものにする(individualizing)の姿勢は大切だと思います。日本でも見習ってほしいものです。
とはいえ患者一人一人に最適化した個別化を医療が決めることは現実的には不可能に近いと思います。患者自身が自分にとっての最適化をする行うことが必要なのではないでしょうか。

単純に言っているかもしれないが、すべての人に適した一つの方法は明らかになってはいない。文化的背景、個人的嗜好、併存する疾患、社会経済状況など幅広い背景を持つ人に適する一つの方法を期待するのは非現実的だ。

こうなると、医療は患者一人一人の文化的背景、個人的嗜好、併存する疾患、社会経済状況などを理解することがまず必要です。そんなこと、糖尿病専門医を受診して聞かれた記憶はありませんが、、

日本糖尿病学会は糖尿病の食事療法は一つだけ、と決めていますから患者の個別性は無視なんでしょうか。

一方、患者の個別性を尊重して一人一人に最適な方法をとるのだとしたら、様々なカテゴリーについての最適な方法が示されていないと個別最適化は方法論として成り立ちにくそうです。正論だけどどうすればいいの?という疑問が出そうな気もします。

栄養素に関するこのコンセンサスの推奨

① 炭水化物、タンパク質、および脂肪からのカロリーの理想的な割合はないことをエビデンスが示している。したがって、その比率は、現在の食事パターン、好み、および代謝目標(metabolic goals)の個別の評価に基づくべきだ。

② 糖尿病患者にカウンセリングするとき、血糖目標を達成するときには、・・・・・炭水化物摂取の自己モニタリングに基づくべきだ。

炭水化物量が血糖目標のキーポイントであると言っているようです。炭水化物を減らえとまでは言っていません。

③少なくとも一般の人々に推奨される量の食物繊維を取ることを勧める。食物(野菜、豆類、果物、加工されていない全粒穀物)、あるいはサプリメントで、食物繊維摂取量を増やすことで、A1Cを穏やかに下げることができる。

食物繊維の摂取が血糖コントロールに有効と明確に言っています。

糖尿病患者の炭水化物の必要量は健康な人と異なるのか?

炭水化物は、エネルギーとして使われ、食後血糖値に主要な持つ。・・・血糖値がゆっくり上昇し下降するものもあれば急な上昇と下降するものもある・・・・

最適な健康に必要な炭水化物の摂取量は明らかではない。糖尿病のない成人(19歳以上)の炭水化物の許容量(最小限必要な量という意味と思われます)は130 g /日。それは脳のグルコース要求量がその決定の1要因だが、このエネルギー要求量は、糖新生やとても少ない炭水化物摂取によるケトン産生でも満たすことができる

このくだりは、ドクターシミズのひとりごとでも解説されているので、詳しく知りたい方はそちらをご覧ください。(原文も掲載していますし、なにより専門家である医師の解説ですから)

私の感想としては、「だから○○だ」と結論を書いていないところがこのコンセンサスレポートの立ち位置を示しているようにも思えて興味深いです。明らかになっている事実だけを書くようにしていて読みやすいです。

炭水化物が食後血糖値上昇の主要因であり、かつ、脳のエネルギーのために1日130gの糖質を食事からとらないといけないということではない(糖新生やケトン産生で代替できる)と言っていますが、そこまでしか言っていないというか糖質制限せよ、とまで言い切っているわけでもありません。

まだまだ続きますが、このレポートいろいろ考えてしまうので(引用されている論文をあああれか、と再度検索したり、日本の場合は、、と考えたりいろいろですが)面白いのですが記事にするには時間がかかります。

そのうちまた続きを書きます。学会の発表する内容ですから、専門家(専門知識のある人)の方が理解が早い、及び英語力は十分な人ほど理解できるものを、あえて英語力が拙い非専門家が記事にしてもなあ、とおもいつつ、自分の納得、関心のために読んで記事にするつもりです。

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